高齢者に発生した回腸結核穿孔の1例

症例は79歳,男性。腹痛・嘔吐を主訴に当院に搬送された。腹部所見では右下腹部に軽度の圧痛を認めるのみで腹膜刺激症状はなかった。腹部CT検査でも腹腔内遊離ガス像はみられなかった。保存的に経過をみていたが第2病日に腹部所見が悪化,CRPも高値となったため手術を施行した。回腸に腫瘤性病変と穿孔が認められた。摘出標本の病理検査で回腸結核症による穿孔性腹膜炎と診断された。高齢者の腸結核に伴う穿孔はまれであり,本症例では低栄養・免疫力低下などの関与が示唆された。免疫能が低下している患者や結核の既往のある患者の診察に当たっては絶えず結核を念頭に置く必要があると考えられた。...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 32; no. 1; pp. 125 - 128
Main Authors 島田, 謙, 片岡, 祐一, 花島, 資, 柴田, 真由子, 河又, 寛, 相馬, 一亥
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2012
Subjects
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.32.125

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Summary:症例は79歳,男性。腹痛・嘔吐を主訴に当院に搬送された。腹部所見では右下腹部に軽度の圧痛を認めるのみで腹膜刺激症状はなかった。腹部CT検査でも腹腔内遊離ガス像はみられなかった。保存的に経過をみていたが第2病日に腹部所見が悪化,CRPも高値となったため手術を施行した。回腸に腫瘤性病変と穿孔が認められた。摘出標本の病理検査で回腸結核症による穿孔性腹膜炎と診断された。高齢者の腸結核に伴う穿孔はまれであり,本症例では低栄養・免疫力低下などの関与が示唆された。免疫能が低下している患者や結核の既往のある患者の診察に当たっては絶えず結核を念頭に置く必要があると考えられた。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.32.125