Pyloric exclusionを行った十二指腸憩室穿孔・後腹膜膿瘍の1例

十二指腸憩室の穿孔は比較的稀な疾患であるが,その解剖学的特異性から治療選択に難渋する.今回われわれは,幽門閉鎖を加えることにより,良好な経過が得られたため,若干の文献的考察を加え報告する. 症例は77歳女性.腹痛を主訴に当院救急外来を紹介受診した.血液検査上は炎症反応の上昇を認め,腹部CTで十二指腸周囲に膿瘍形成を認めた.十二指腸穿孔による後腹膜膿瘍と診断し,入院2日目に準緊急で手術を施行した.術中所見では,膿瘍は膵頭部から十二指腸後面まで広がっていた.穿孔部は十二指腸乳頭やや肛門側に認め,周囲の組織は壊死しており,大網充填を施行した.術後縫合不全のリスクが高いと考え,十二指腸減圧のため,py...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 75; no. 11; pp. 3024 - 3029
Main Authors 鈴木, 佳透, 松本, 松圭, 山崎, 元靖, 清水, 正幸, 長島, 敦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2014
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.75.3024

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Summary:十二指腸憩室の穿孔は比較的稀な疾患であるが,その解剖学的特異性から治療選択に難渋する.今回われわれは,幽門閉鎖を加えることにより,良好な経過が得られたため,若干の文献的考察を加え報告する. 症例は77歳女性.腹痛を主訴に当院救急外来を紹介受診した.血液検査上は炎症反応の上昇を認め,腹部CTで十二指腸周囲に膿瘍形成を認めた.十二指腸穿孔による後腹膜膿瘍と診断し,入院2日目に準緊急で手術を施行した.術中所見では,膿瘍は膵頭部から十二指腸後面まで広がっていた.穿孔部は十二指腸乳頭やや肛門側に認め,周囲の組織は壊死しており,大網充填を施行した.術後縫合不全のリスクが高いと考え,十二指腸減圧のため,pyloric exclusionを付加する方針とした.胃内腔より幽門を閉鎖し,胃空腸吻合術を追加し,総胆管にT-tubeを挿入している.十二指腸充填部縫合不全を認めたが経口摂取は可能で,術後11日に退院した.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.75.3024