肝細胞癌に対するソラフェニブ療法中に肝動脈瘤破裂による肝動静脈瘻を形成した1例

症例は82歳男性で,肝細胞癌に対して2度の肝切除術を受けたが,2度目の肝切除から11カ月後に肝内再発と肺転移を認めたため,ソラフェニブ療法を行っていた.ソラフェニブ内服開始から18週後に上腹部痛が出現し当院を受診した.造影超音波検査,造影CT検査で肝動脈瘤破裂と中肝静脈の分枝への穿破による肝動静脈瘻の診断となり,血管造影検査,ならびにゼラチンスポンジによる肝動脈塞栓術を施行した.その後は肝動脈瘤の再発なく経過し,退院より16カ月後に肝細胞癌の病状進行により死亡した.肝細胞癌に対する治療歴がある症例では肝動脈瘤の発生に注意しながら診療を行うべきであり,また,破裂時には周囲血管との関係も含めて迅速...

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Published in肝臓 Vol. 58; no. 11; pp. 605 - 610
Main Authors 鈴木, 英一郎, 前田, 隆宏, 横山, 昌幸, 齊藤, 朋子, 丸山, 紀史, 大岡, 美彦, 千葉, 哲博, 小笠原, 定久, 加藤, 直也, 高橋, 幸治, 神田, 達郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 2017
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.58.605

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Summary:症例は82歳男性で,肝細胞癌に対して2度の肝切除術を受けたが,2度目の肝切除から11カ月後に肝内再発と肺転移を認めたため,ソラフェニブ療法を行っていた.ソラフェニブ内服開始から18週後に上腹部痛が出現し当院を受診した.造影超音波検査,造影CT検査で肝動脈瘤破裂と中肝静脈の分枝への穿破による肝動静脈瘻の診断となり,血管造影検査,ならびにゼラチンスポンジによる肝動脈塞栓術を施行した.その後は肝動脈瘤の再発なく経過し,退院より16カ月後に肝細胞癌の病状進行により死亡した.肝細胞癌に対する治療歴がある症例では肝動脈瘤の発生に注意しながら診療を行うべきであり,また,破裂時には周囲血管との関係も含めて迅速かつ正確な画像診断を行ってから治療に臨む必要がある.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.58.605