鼠径ヘルニアメッシュ上に同時性血行性転移をきたした下行結腸癌の1例

鼠径ヘルニア術後3年でメッシュ上に同時性腹壁転移をきたした下行結腸癌の症例を経験したので報告する.症例は77歳の男性,完全内臓逆位の患者で,73歳時に左内鼠径ヘルニアに対してInlay法を施行され,76歳時に下行結腸癌の診断に至り結腸左半切除術を施行された(T3N2M0 Stage IIIB).術後6カ月に圧痛を伴う左鼠径部腫脹を認めたが,メッシュ周囲の肉芽腫性反応と判断され抗菌薬処方の上で経過観察された.術後1年3カ月で腫瘍マーカー上昇を認め,PET/CT検査で肝転移と左腹壁転移の診断に至り,肝部分切除術および左腹壁腫瘍切除術を施行した.CT画像上,メッシュ留置部に一致した左腹壁転移は結腸切...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 79; no. 11; pp. 2309 - 2315
Main Authors 佐藤, 道夫, 冨田, 眞人, 星野, 剛, 多田, 彩子, 三島, 江平, 楯, 玄秀, 宮田, 量平
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2018
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.79.2309

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Summary:鼠径ヘルニア術後3年でメッシュ上に同時性腹壁転移をきたした下行結腸癌の症例を経験したので報告する.症例は77歳の男性,完全内臓逆位の患者で,73歳時に左内鼠径ヘルニアに対してInlay法を施行され,76歳時に下行結腸癌の診断に至り結腸左半切除術を施行された(T3N2M0 Stage IIIB).術後6カ月に圧痛を伴う左鼠径部腫脹を認めたが,メッシュ周囲の肉芽腫性反応と判断され抗菌薬処方の上で経過観察された.術後1年3カ月で腫瘍マーカー上昇を認め,PET/CT検査で肝転移と左腹壁転移の診断に至り,肝部分切除術および左腹壁腫瘍切除術を施行した.CT画像上,メッシュ留置部に一致した左腹壁転移は結腸切除時に既に存在し経時的に増大していた.大腸癌の腹壁転移の多くは腹膜播種またはimplantationによる術後再発であるが,本症例はヘルニアメッシュ上の同時性血行性転移の可能性が高く稀な症例であると考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.79.2309