TP53陽性骨髄性腫瘍とその治療戦略

TP53遺伝子の変異はAMLの10~15%,MDSの10~30%にみられ,治療関連性腫瘍ではさらに高頻度となる。TP53変異は非常に予後不良であるが,一方でクローン性造血にもみられる。しかしその場合は片アレルの変異であり,腫瘍に進展する際にはLOHを伴う,もしくは複数の変異を獲得して両アレルの変異となることが多い。片アレルの変異が腫瘍にもみられることがあるがその場合の遺伝学的な特徴や生命予後を含む臨床像はTP53変異陰性症例と類似する。TP53変異陽性骨髄性腫瘍は多くの治療に抵抗性を示すが,DNAメチル化阻害剤に対して短期的には反応を示す。しかし寛解持続期間は短く生命予後の改善には結びついてい...

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Published in日本造血細胞移植学会雑誌 Vol. 10; no. 1; pp. 7 - 15
Main Author 南谷, 泰仁
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本造血細胞移植学会 2021
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ISSN2186-5612
DOI10.7889/hct-20-014

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Summary:TP53遺伝子の変異はAMLの10~15%,MDSの10~30%にみられ,治療関連性腫瘍ではさらに高頻度となる。TP53変異は非常に予後不良であるが,一方でクローン性造血にもみられる。しかしその場合は片アレルの変異であり,腫瘍に進展する際にはLOHを伴う,もしくは複数の変異を獲得して両アレルの変異となることが多い。片アレルの変異が腫瘍にもみられることがあるがその場合の遺伝学的な特徴や生命予後を含む臨床像はTP53変異陰性症例と類似する。TP53変異陽性骨髄性腫瘍は多くの治療に抵抗性を示すが,DNAメチル化阻害剤に対して短期的には反応を示す。しかし寛解持続期間は短く生命予後の改善には結びついていない。そのため寛解率を向上させるための新規治療の開発や,短い寛解期に造血幹細胞移植を併用する試みが行われている。
ISSN:2186-5612
DOI:10.7889/hct-20-014