膵体部海綿状リンパ管腫の1切除例

症例は25歳,女性.主訴は上腹部痛.2007年5月に主訴が出現し,当院内科受診.上部消化管内視鏡検査では異常を認めなかったが,腹部超音波検査で4cm大の膵体部に隔壁を伴う嚢胞性の腫瘤像を認めた.MRIとCTでは,多房性の嚢胞状腫瘍性病変を認めた.以上から膵嚢胞性腫瘍と診断し,2007年7月に手術を施行.術中所見では,腫瘍の表面は線維性の被膜は認めず,周囲への浸潤もなく,膵体部リンパ管腫と考えられ,腫瘍を含めた膵体部部分切除術のみを行った.術後経過は良好で,術後12日目に軽快退院した.病理組織学的検査では,膵海綿状リンパ管腫であった.膵リンパ管腫は良性疾患であり,今回われわれは,必要最小限の手術...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 70; no. 2; pp. 535 - 539
Main Authors 櫻川, 忠之, 待木, 雄一, 宮田, 大士, 加藤, 健司, 伊藤, 貴明, 平松, 聖史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2009
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.70.535

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Summary:症例は25歳,女性.主訴は上腹部痛.2007年5月に主訴が出現し,当院内科受診.上部消化管内視鏡検査では異常を認めなかったが,腹部超音波検査で4cm大の膵体部に隔壁を伴う嚢胞性の腫瘤像を認めた.MRIとCTでは,多房性の嚢胞状腫瘍性病変を認めた.以上から膵嚢胞性腫瘍と診断し,2007年7月に手術を施行.術中所見では,腫瘍の表面は線維性の被膜は認めず,周囲への浸潤もなく,膵体部リンパ管腫と考えられ,腫瘍を含めた膵体部部分切除術のみを行った.術後経過は良好で,術後12日目に軽快退院した.病理組織学的検査では,膵海綿状リンパ管腫であった.膵リンパ管腫は良性疾患であり,今回われわれは,必要最小限の手術侵襲で膵機能を温存するように治療を行った.術前検査では,画像診断で,確定診断には至らなかったが,術中所見により膵リンパ管腫と診断し,腫瘍部分を含む膵部分切除を行った.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.70.535