全周性直腸狭窄をきたした粘膜脱症候群の1例

症例は88歳,男性.膀胱癌に対する経尿道的腫瘍切除後の約2週間後に腹部膨満感を自覚し来院.理学所見上,腹部は圧痛を認めず,軟だが著明な膨隆を認めた.腹部CTでは直腸より口側の大腸が著明に拡張していた.大腸イレウスの診断にて緊急入院とし,経肛門イレウス管を挿入した.下部消化管内視鏡検査では肛門縁から4 cmの下部直腸に粘膜発赤を伴う全周性狭窄を認めたが,生検では悪性所見を認めなかった.腸管減圧後にも症状の改善が得られず,腹腔鏡下S状結腸双孔式人工肛門造設術を施行.同時に施行した狭窄部の経肛門的直視下生検にて,粘膜脱症候群の診断を得た.粘膜脱症候群(mucosal prolapse syndrom...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 78; no. 11; pp. 2492 - 2496
Main Authors 田代, 恵太, 上野, 秀樹, 山本, 順司, 長谷, 和生, 神藤, 英二, 梶原, 由規
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2017
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.78.2492

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Summary:症例は88歳,男性.膀胱癌に対する経尿道的腫瘍切除後の約2週間後に腹部膨満感を自覚し来院.理学所見上,腹部は圧痛を認めず,軟だが著明な膨隆を認めた.腹部CTでは直腸より口側の大腸が著明に拡張していた.大腸イレウスの診断にて緊急入院とし,経肛門イレウス管を挿入した.下部消化管内視鏡検査では肛門縁から4 cmの下部直腸に粘膜発赤を伴う全周性狭窄を認めたが,生検では悪性所見を認めなかった.腸管減圧後にも症状の改善が得られず,腹腔鏡下S状結腸双孔式人工肛門造設術を施行.同時に施行した狭窄部の経肛門的直視下生検にて,粘膜脱症候群の診断を得た.粘膜脱症候群(mucosal prolapse syndrome,以下MPS)は,直腸粘膜が機械的刺激または虚血性変化を受け直腸前壁に発症するとことが多いとされるが,大腸イレウスの原因となる全周性MPSは稀である.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.78.2492