S6区域切除術後の完遂左肺下葉切除術で肺底動脈壁をフラップとし肺動脈形成を行った1例

局所進行肺癌の根治切除では肺実質を温存する目的で肺動脈形成が行われ,左肺下葉切除術ではしばしば舌区肺動脈を温存するために行われる.症例は69歳女性,4年前に直腸癌肺転移に対し左肺S6区域切除術を行われ経過観察中に断端再発を指摘され紹介となった.胸部CTで断端近傍に2.2×1.4 cmの葉間肺動脈に接する結節影を認め,舌区肺動脈は葉間型A4+5であった.左後側方開胸でアプローチし胸腔内は広範に強固な癒着を認め,まずその剥離を行った.下肺静脈と下葉気管支を先に切離してから葉間処理を行った.葉間組織は固着し血管処理は困難であり,血流遮断し葉間肺動脈壁ごと下葉を摘出した.温存した肺底動脈の血管壁をフラ...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 34; no. 1; pp. 86 - 90
Main Authors 常塚, 啓彰, 西村, 友樹, 岡田, 悟, 内堀, 篤樹, 井上, 匡美, 石川, 成美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.01.2020
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.34.86

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Summary:局所進行肺癌の根治切除では肺実質を温存する目的で肺動脈形成が行われ,左肺下葉切除術ではしばしば舌区肺動脈を温存するために行われる.症例は69歳女性,4年前に直腸癌肺転移に対し左肺S6区域切除術を行われ経過観察中に断端再発を指摘され紹介となった.胸部CTで断端近傍に2.2×1.4 cmの葉間肺動脈に接する結節影を認め,舌区肺動脈は葉間型A4+5であった.左後側方開胸でアプローチし胸腔内は広範に強固な癒着を認め,まずその剥離を行った.下肺静脈と下葉気管支を先に切離してから葉間処理を行った.葉間組織は固着し血管処理は困難であり,血流遮断し葉間肺動脈壁ごと下葉を摘出した.温存した肺底動脈の血管壁をフラップ状に折り返しトリミングし非吸収性モノフィラメント糸の連続縫合で肺動脈断端の欠損部を再建した.肺底動脈壁をフラップとし肺動脈形成を行い舌区の温存を図った完遂左肺下葉切除術の1例を経験したため報告する.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.34.86