急性発症の自己免疫性肝炎に続発した自己免疫性溶血性貧血の一例

症例は52歳女性.橋本病の既往あり.急性の経過で黄疸と肝機能障害を認め,精査により自己免疫性肝炎と診断した.Prednisoloneによる治療を開始したところ,肝機能障害は改善傾向を示したが,原因不明の貧血進行を認めた.血液検査と骨髄検査から自己免疫性溶血性貧血の合併が明らかとなった.Prednisolone投与を継続したところ,肝機能障害と共に貧血も改善を認めた.免疫制御機構の脆弱性が背景としてある自己免疫性肝炎の症例では,他の自己免疫性疾患を合併しうることが報告されているが,自己免疫性溶血性貧血を合併する例は稀である.適切に診断できればステロイドを中心とした免疫抑制により治療が成功する症例...

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Published in肝臓 Vol. 60; no. 11; pp. 439 - 446
Main Authors 東澤, 俊彦, 須永, 将梧, 寺元, 研, 亀山, 尚子, 岡村, 幸重, 関根, 忠一, 堀江, 知史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 01.11.2019
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.60.439

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Summary:症例は52歳女性.橋本病の既往あり.急性の経過で黄疸と肝機能障害を認め,精査により自己免疫性肝炎と診断した.Prednisoloneによる治療を開始したところ,肝機能障害は改善傾向を示したが,原因不明の貧血進行を認めた.血液検査と骨髄検査から自己免疫性溶血性貧血の合併が明らかとなった.Prednisolone投与を継続したところ,肝機能障害と共に貧血も改善を認めた.免疫制御機構の脆弱性が背景としてある自己免疫性肝炎の症例では,他の自己免疫性疾患を合併しうることが報告されているが,自己免疫性溶血性貧血を合併する例は稀である.適切に診断できればステロイドを中心とした免疫抑制により治療が成功する症例が多い.また本症例では肝機能障害に遅れて溶血所見が認められており,急性発症の自己免疫性肝炎に自己免疫性溶血性貧血が続発したことが示唆された.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.60.439