白血球除去・血漿交換・ステロイド等の集学的治療にて救命し得た重症型アルコール性肝炎の1例

症例は33歳男性.20歳からビール1日平均1.5~2 L,10年以上飲酒を継続していた.28歳時に肝機能異常を指摘され,その後改善,増悪を繰り返していた.200X年7月より飲酒量が増え,8月から黄疸,腹部膨満,食欲不振,浮腫の症状が出現し当院入院となった.入院後,全身性炎症反応症候群を伴う重症型アルコール性肝炎と診断した.重症型アルコール性肝炎では炎症性サイトカインや好中球浸潤による酸化ストレスを介して,肝細胞障害が引き起こされる.この病態を制御するため,血漿交換,持続的血液濾過透析,白血球除去,シベレスタット,メチルプレドニゾロン等による治療を順次施行したところ,本症例は最終的に救命すること...

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Published in肝臓 Vol. 54; no. 11; pp. 765 - 773
Main Authors 鏑木, 大輔, 丸田, 栄, 登丸, 行雄, 長沼, 篤, 新井, 理記, 湯浅, 和久, 細沼, 賢一, 麻, 興華, 高木, 均, 佐藤, 洋子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 2013
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.54.765

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Summary:症例は33歳男性.20歳からビール1日平均1.5~2 L,10年以上飲酒を継続していた.28歳時に肝機能異常を指摘され,その後改善,増悪を繰り返していた.200X年7月より飲酒量が増え,8月から黄疸,腹部膨満,食欲不振,浮腫の症状が出現し当院入院となった.入院後,全身性炎症反応症候群を伴う重症型アルコール性肝炎と診断した.重症型アルコール性肝炎では炎症性サイトカインや好中球浸潤による酸化ストレスを介して,肝細胞障害が引き起こされる.この病態を制御するため,血漿交換,持続的血液濾過透析,白血球除去,シベレスタット,メチルプレドニゾロン等による治療を順次施行したところ,本症例は最終的に救命することができた.重症型アルコール性肝炎の治療においては,治療に対する生体の反応を注意深く見極めつつ,各種集学的治療を効果的なタイミングで展開していくことが重要と思われた.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.54.765