感染性肝嚢胞に胆管炎,胆嚢炎を合併した1例

肝嚢胞は,一般的にみられる疾患であり大半が無症状で経過し,臨床的に問題となることは少ない。今回,われわれは感染性肝嚢胞に胆管炎,胆嚢炎を合併した1例を経験したので報告する。症例は74歳女性で,発熱,右季肋部痛,上腹部圧迫感を主訴に当院を受診した。腹部超音波検査,腹部CT検査にて感染性肝嚢胞,胆管炎,胆嚢炎と診断された。中等症胆管炎に対してERCPを施行し,ステントを留置した。症状は改善したが入院後2日目に38℃台の発熱,上腹部痛も出現したため経皮的膿瘍ドレナージ術を施行した。検査直後より発熱,上腹部痛ともに改善し,第4病日に退院した。退院後2週間発熱なく経過良好のためドレーンを抜去した。感染性...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 32; no. 1; pp. 101 - 104
Main Authors 伊藤, 康博, 江川, 智久, 北野, 光秀, 林, 忍, 長島, 敦, 入野, 誠之, 建持, 岳史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2012
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.32.101

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Summary:肝嚢胞は,一般的にみられる疾患であり大半が無症状で経過し,臨床的に問題となることは少ない。今回,われわれは感染性肝嚢胞に胆管炎,胆嚢炎を合併した1例を経験したので報告する。症例は74歳女性で,発熱,右季肋部痛,上腹部圧迫感を主訴に当院を受診した。腹部超音波検査,腹部CT検査にて感染性肝嚢胞,胆管炎,胆嚢炎と診断された。中等症胆管炎に対してERCPを施行し,ステントを留置した。症状は改善したが入院後2日目に38℃台の発熱,上腹部痛も出現したため経皮的膿瘍ドレナージ術を施行した。検査直後より発熱,上腹部痛ともに改善し,第4病日に退院した。退院後2週間発熱なく経過良好のためドレーンを抜去した。感染性肝嚢胞は比較的まれな疾患であり嚢胞が感染する過程は明らかではない。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.32.101