小細胞癌と腺癌の多発胃癌と胆嚢癌の3重複癌の1例

症例は78歳,男性.心窩部痛を主訴に近医より紹介された.胃内視鏡では胃体上部,胃前庭部に隆起性病変を認め,生検で胃体上部の病変は低分化腺癌,前庭部は高分化腺癌と診断.深達度はいずれもMP以浅との判断であった.CT所見ではリンパ節並びに他部位への転移指摘なく,胆石を指摘された.術前診断は多発胃癌,胆嚢結石症で,腹腔鏡下胃全摘術,D2郭清,並びに胆嚢摘出術を行った.病理組織学的検査所見として胃体上部病変はCD56,synaptophysin,chromogrnin Aが陽性であり胃小細胞癌の診断,また胃前庭部病変は高分化腺癌,胆嚢は高分化腺癌であった.術後は順調に回復し,術後23日目に退院となった...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 72; no. 2; pp. 519 - 524
Main Authors 益満幸, 一郎, 池江, 隆正, 川井田, 浩一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2011
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.72.519

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Summary:症例は78歳,男性.心窩部痛を主訴に近医より紹介された.胃内視鏡では胃体上部,胃前庭部に隆起性病変を認め,生検で胃体上部の病変は低分化腺癌,前庭部は高分化腺癌と診断.深達度はいずれもMP以浅との判断であった.CT所見ではリンパ節並びに他部位への転移指摘なく,胆石を指摘された.術前診断は多発胃癌,胆嚢結石症で,腹腔鏡下胃全摘術,D2郭清,並びに胆嚢摘出術を行った.病理組織学的検査所見として胃体上部病変はCD56,synaptophysin,chromogrnin Aが陽性であり胃小細胞癌の診断,また胃前庭部病変は高分化腺癌,胆嚢は高分化腺癌であった.術後は順調に回復し,術後23日目に退院となった.胃小細胞癌は頻度としては全胃癌中0.06%~0.2%とされており,さらに重複癌の報告例は,同一臓器重複癌を含めて8例であった.その予後は合併する癌にもよるが,胃小細胞癌の進行に関係すると考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.72.519