皮膚筋炎を合併した肝細胞癌の1例

皮膚筋炎を合併した肝細胞癌の1例を経験したので報告する.症例は67歳,男性.検診にて肝腫瘍を指摘され,精査・加療目的に入院した.その直前より,顔面・手背の皮疹と脱力感を自覚した.ヘリオトロープ疹やゴットロン徴候,筋電図所見および筋生検結果から,皮膚筋炎と診断された.さらに外側区域肝腫瘍は肝細胞癌(径3.5cm,最終的にStageIII)と診断されたが,肝炎ウイルスマーカーは陰性であった.肝外側区域切除を行い,術後4カ月のステロイド剤内服を行ったところ,術後10カ月目の現在も肝癌再発や皮膚筋炎症状の再燃は認められていない.皮膚筋炎と肝細胞癌との合併報告例は極めて稀ではあるが,皮膚筋炎における悪性...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 70; no. 2; pp. 486 - 490
Main Authors 迫田, 雅彦, 上野, 真一, 久保, 文武, 樋渡, 清司, 平田, 宗嗣, 夏越, 祥次
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2009
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.70.486

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Summary:皮膚筋炎を合併した肝細胞癌の1例を経験したので報告する.症例は67歳,男性.検診にて肝腫瘍を指摘され,精査・加療目的に入院した.その直前より,顔面・手背の皮疹と脱力感を自覚した.ヘリオトロープ疹やゴットロン徴候,筋電図所見および筋生検結果から,皮膚筋炎と診断された.さらに外側区域肝腫瘍は肝細胞癌(径3.5cm,最終的にStageIII)と診断されたが,肝炎ウイルスマーカーは陰性であった.肝外側区域切除を行い,術後4カ月のステロイド剤内服を行ったところ,術後10カ月目の現在も肝癌再発や皮膚筋炎症状の再燃は認められていない.皮膚筋炎と肝細胞癌との合併報告例は極めて稀ではあるが,皮膚筋炎における悪性腫瘍検索の際には,肝炎ウイルス所見に関わらず,肝細胞癌も念頭におく必要性はあると考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.70.486