移植後シクロホスファミドを用いたHLA半合致移植後のcytokine release syndrome

同移植後シクロホスファミドを用いたHLA半合致移植(PTCYハプロ)はGVHDや非再発死亡のリスクが低く広く行われるようになっているが,注意すべき合併症の1つにサイトカイン放出症候群(CRS)がある。CRSは高サイトカイン血症によって引き起こされる症候群でありさまざまな症状が出現しうるが,移植片輸注後早期の高度の発熱が特徴的である。ほとんどの患者ではPTCY投与後は速やかに解熱するが,一部の患者では重症CRSを発症することがある。重症CRS患者にはトシリズマブが使用可能であれば考慮すべきであるが,日本では保険承認されていないため,まずはステロイドで治療することが一般的である。PTCY前にステロ...

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Published in日本造血細胞移植学会雑誌 Vol. 10; no. 1; pp. 66 - 71
Main Author 杉田, 純一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本造血細胞移植学会 2021
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ISSN2186-5612
DOI10.7889/hct-20-016

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Summary:同移植後シクロホスファミドを用いたHLA半合致移植(PTCYハプロ)はGVHDや非再発死亡のリスクが低く広く行われるようになっているが,注意すべき合併症の1つにサイトカイン放出症候群(CRS)がある。CRSは高サイトカイン血症によって引き起こされる症候群でありさまざまな症状が出現しうるが,移植片輸注後早期の高度の発熱が特徴的である。ほとんどの患者ではPTCY投与後は速やかに解熱するが,一部の患者では重症CRSを発症することがある。重症CRS患者にはトシリズマブが使用可能であれば考慮すべきであるが,日本では保険承認されていないため,まずはステロイドで治療することが一般的である。PTCY前にステロイドを予防投与することは,理論的には同種反応性のT細胞の増殖を抑制してPTCYの効果を低下させる可能性があるので避けるべきである。重度のCRSは予後不良であることは明らかであるが,許容できるレベルのCRSが抗腫瘍効果をもつかどうかについては,今後のさらなる検討が必要である。
ISSN:2186-5612
DOI:10.7889/hct-20-016