内視鏡的整復後にNOMIによる広範囲の腸管壊死をきたしたS状結腸軸捻の1例

患者は70歳台,男性.受診当日の朝より腹痛と下痢があり,当院救急外来を受診した.腹部CT検査で,S状結腸軸捻が疑われたため,内視鏡的整復術を施行した.整復後,一旦は症状の改善を認めた.その後,次第に血圧が低下し腹痛の増強を認めた.再度施行したCT検査では門脈内と,腸管壁内の気腫を認め,腸管壊死が疑われた.緊急開腹術を施行したところ,小腸(160cm)と大腸(横行結腸~直腸)に壊死所見があり同部位を切除した.48時間後のplanned reoperationでは,新たな壊死腸管は認めず,小腸小腸吻合および横行結腸人工肛門造設を行った.本症例はS状結腸軸捻後の脱水が契機となって非閉塞性腸管虚血症(...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 74; no. 11; pp. 3113 - 3116
Main Authors 大嶺, 靖, 永吉, 盛司, 知花, 朝美, 佐々木, 秀章, 中川, 裕, 豊見山, 健
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2013
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.74.3113

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Summary:患者は70歳台,男性.受診当日の朝より腹痛と下痢があり,当院救急外来を受診した.腹部CT検査で,S状結腸軸捻が疑われたため,内視鏡的整復術を施行した.整復後,一旦は症状の改善を認めた.その後,次第に血圧が低下し腹痛の増強を認めた.再度施行したCT検査では門脈内と,腸管壁内の気腫を認め,腸管壊死が疑われた.緊急開腹術を施行したところ,小腸(160cm)と大腸(横行結腸~直腸)に壊死所見があり同部位を切除した.48時間後のplanned reoperationでは,新たな壊死腸管は認めず,小腸小腸吻合および横行結腸人工肛門造設を行った.本症例はS状結腸軸捻後の脱水が契機となって非閉塞性腸管虚血症(nonocculusive mesenteric ischemia:NOMI)を発症したものと考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.74.3113