腫瘍露出を認めない粘膜下腫瘍様の形態を呈した胃未分化癌の1例

症例は65歳の男性で心窩部痛を主訴に来院.胃体上部の腫瘤性病変,限局性腹膜炎と診断された.上部消化管内視鏡検査で噴門直下に粘膜下腫瘍様の3cm大の隆起を認め,粘膜面に変化を認めなかった.超音波内視鏡検査で第4層に連続した腫瘤を認め,腹部CT検査で多発肝転移を認めた.その内視鏡形態からgastrointestinal stromal tumor(GIST)を疑い,噴門側胃切除術を施行した.腫瘍は筋層から漿膜下に腫瘤を形成し,異型の強い細胞が浸潤増殖し分化傾向を認めなかった.免疫組織化学的にGISTを含めた間葉系腫瘍,悪性黒色種,悪性リンパ腫,胚細胞腫瘍は否定され,上皮系マーカーが陽性であった.他...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 77; no. 10; pp. 2480 - 2487
Main Authors 上向, 伸幸, 小林, 敦夫, 齋藤, 健人, 長堀, 優, 渡邉, 昌俊
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2016
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.77.2480

Cover

More Information
Summary:症例は65歳の男性で心窩部痛を主訴に来院.胃体上部の腫瘤性病変,限局性腹膜炎と診断された.上部消化管内視鏡検査で噴門直下に粘膜下腫瘍様の3cm大の隆起を認め,粘膜面に変化を認めなかった.超音波内視鏡検査で第4層に連続した腫瘤を認め,腹部CT検査で多発肝転移を認めた.その内視鏡形態からgastrointestinal stromal tumor(GIST)を疑い,噴門側胃切除術を施行した.腫瘍は筋層から漿膜下に腫瘤を形成し,異型の強い細胞が浸潤増殖し分化傾向を認めなかった.免疫組織化学的にGISTを含めた間葉系腫瘍,悪性黒色種,悪性リンパ腫,胚細胞腫瘍は否定され,上皮系マーカーが陽性であった.他臓器からの転移は否定的で,詳細な除外診断を行った結果,胃未分化癌と診断した.粘膜面に病変の露出を認めない粘膜下腫瘍様の形態を呈した胃未分化癌の報告例はなく,極めて稀である.本邦報告例の検討を含め報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.77.2480