典型的なCT所見を呈した子宮広間膜裂孔ヘルニアの1例

症例は41歳,女性。前日からの腹痛と嘔気・嘔吐を主訴に当院を受診された。腹部単純X線検査で軽度の小腸拡張像と鏡面形成像を認めた。CTでは骨盤内の拡張した小腸ループ像とこれによる子宮・直腸の偏位,左子宮円索と思われる索状物の下方での小腸狭窄像を認めたため,子宮広間膜裂孔ヘルニアによるイレウスを疑い,同日緊急手術を施行した。開腹にて,左子宮広間膜に約3cmの裂孔があり,小腸が腹側より背側へ約30cm嵌入しているのを認めた。小腸は比較的容易に還納可能で,腸切除は施行せず,裂孔を縫合閉鎖して手術を終了した。子宮広間膜裂孔ヘルニアはまれな疾患で術前診断が困難とされるが,近年CTにて特徴的な所見が認められ...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 31; no. 4; pp. 665 - 667
Main Authors 蛭川, 浩史, 多田, 哲也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2011
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.31.665

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Summary:症例は41歳,女性。前日からの腹痛と嘔気・嘔吐を主訴に当院を受診された。腹部単純X線検査で軽度の小腸拡張像と鏡面形成像を認めた。CTでは骨盤内の拡張した小腸ループ像とこれによる子宮・直腸の偏位,左子宮円索と思われる索状物の下方での小腸狭窄像を認めたため,子宮広間膜裂孔ヘルニアによるイレウスを疑い,同日緊急手術を施行した。開腹にて,左子宮広間膜に約3cmの裂孔があり,小腸が腹側より背側へ約30cm嵌入しているのを認めた。小腸は比較的容易に還納可能で,腸切除は施行せず,裂孔を縫合閉鎖して手術を終了した。子宮広間膜裂孔ヘルニアはまれな疾患で術前診断が困難とされるが,近年CTにて特徴的な所見が認められるという報告が増えている。今回CTにて典型的と思われる所見を呈した子宮広間膜裂孔ヘルニアの1例を経験したので文献的考察を加えて報告する。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.31.665