急性胆嚢炎を契機に診断された胆嚢異所性膵の1例

症例は67歳の女性で,右季肋部痛を主訴に受診した.腹部造影CTでは胆嚢腫大,壁肥厚と周囲の浮腫性変化を認めたが,結石は認めなかった.急性胆嚢炎と診断し,待機的に腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した.摘出標本の病理組織学的検査で胆嚢頸部粘膜下に8mm大の膵組織を認め,胆嚢異所性膵と診断した.CTの後方視的検討では,頸部に造影効果を伴う5mm大の結節像を指摘しえた.異所性膵は他診断による治療の結果偶発的に発見されることが多く,十二指腸や胃等に存在することが多いが,胆嚢異所性膵は非常に稀であり,術前診断も困難である.今回われわれは無石性胆嚢炎として手術を施行し,胆嚢異所性膵を認めた症例を経験したので,本邦報...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 80; no. 10; pp. 1877 - 1881
Main Authors 田仲, 徹行, 吉村, 淳, 植田, 剛, 定光, ともみ, 横山, 貴司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2019
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.80.1877

Cover

More Information
Summary:症例は67歳の女性で,右季肋部痛を主訴に受診した.腹部造影CTでは胆嚢腫大,壁肥厚と周囲の浮腫性変化を認めたが,結石は認めなかった.急性胆嚢炎と診断し,待機的に腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した.摘出標本の病理組織学的検査で胆嚢頸部粘膜下に8mm大の膵組織を認め,胆嚢異所性膵と診断した.CTの後方視的検討では,頸部に造影効果を伴う5mm大の結節像を指摘しえた.異所性膵は他診断による治療の結果偶発的に発見されることが多く,十二指腸や胃等に存在することが多いが,胆嚢異所性膵は非常に稀であり,術前診断も困難である.今回われわれは無石性胆嚢炎として手術を施行し,胆嚢異所性膵を認めた症例を経験したので,本邦報告例を検討した内容を加えて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.80.1877