横行結腸切除後の便塊による機能的端々吻合部穿孔の1例

症例は,81歳,男性.2013年4月に脾弯曲部寄りの横行結腸癌に対して,腹腔鏡補助下横行結腸切除術を行った.再建は,横行結腸と下行結腸での機能的端々吻合を行った.術後は,酸化マグネシウムを服用していたが,排便はほぼ毎日あり,便秘との認識は家族を含めてなかった.2014年10月に腹痛,嘔吐を主訴に受診した.造影CT検査にて,腹腔内にfree airを認めた.左上腹部の機能的端々吻合部で腸管が拡張し,腸管内に6.7cm大の便塊を認めた.同部背側の壁に4mmの穿孔部が疑われた.吻合部の便塊による穿孔性腹膜炎と診断し手術を行った.吻合に断裂があり便塊の露出を認めた.穿孔部を含めた吻合部を切除し,人工肛...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 76; no. 12; pp. 3029 - 3033
Main Authors 大山, 智宏, 佐藤, 力弥, 三田, 多恵, 北薗, 正樹, 上村, 真弓, 豊崎, 良一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2015
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.76.3029

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Summary:症例は,81歳,男性.2013年4月に脾弯曲部寄りの横行結腸癌に対して,腹腔鏡補助下横行結腸切除術を行った.再建は,横行結腸と下行結腸での機能的端々吻合を行った.術後は,酸化マグネシウムを服用していたが,排便はほぼ毎日あり,便秘との認識は家族を含めてなかった.2014年10月に腹痛,嘔吐を主訴に受診した.造影CT検査にて,腹腔内にfree airを認めた.左上腹部の機能的端々吻合部で腸管が拡張し,腸管内に6.7cm大の便塊を認めた.同部背側の壁に4mmの穿孔部が疑われた.吻合部の便塊による穿孔性腹膜炎と診断し手術を行った.吻合に断裂があり便塊の露出を認めた.穿孔部を含めた吻合部を切除し,人工肛門造設術を行った.機能的端々吻合を行う際は,吻合部狭窄をきたさないよう吻合することは当然であるが,極端に大きな吻合径は憩室様変化をきたし,便塊の停滞につながることにも留意する必要がある.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.76.3029