左主気管支を圧排し咳嗽を呈した迷走神経由来の神経鞘腫の1例
【序文】神経原性腫瘍は後縦隔に発生し,交感神経や肋間神経に由来するものが多い.今回,左主気管支を圧排し,咳嗽を呈した迷走神経由来の神経鞘腫を経験した.【症例】咳嗽を主訴とする69歳女性.胃粘膜下腫瘍の精査で施行したCTで左主気管支を背側から圧排する14 mmの結節影を認めた.超音波内視鏡下穿刺吸引法を施行し,神経鞘腫の診断となった.気管支鏡では,膜様部が腫瘍に圧排されていたが,粘膜は正常で主気管支への浸潤はないと判断した.胸腔鏡下縦隔腫瘍摘出術を施行した.腫瘍は被膜に包まれており,周囲への浸潤はなく,剥離可能であった.迷走神経の分枝から発生していた.手術時間:59分,出血:少量.【考察】神経原...
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| Published in | 日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 34; no. 1; pp. 13 - 17 |
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| Main Authors | , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
15.01.2020
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| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0919-0945 1881-4158 |
| DOI | 10.2995/jacsurg.34.13 |
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| Summary: | 【序文】神経原性腫瘍は後縦隔に発生し,交感神経や肋間神経に由来するものが多い.今回,左主気管支を圧排し,咳嗽を呈した迷走神経由来の神経鞘腫を経験した.【症例】咳嗽を主訴とする69歳女性.胃粘膜下腫瘍の精査で施行したCTで左主気管支を背側から圧排する14 mmの結節影を認めた.超音波内視鏡下穿刺吸引法を施行し,神経鞘腫の診断となった.気管支鏡では,膜様部が腫瘍に圧排されていたが,粘膜は正常で主気管支への浸潤はないと判断した.胸腔鏡下縦隔腫瘍摘出術を施行した.腫瘍は被膜に包まれており,周囲への浸潤はなく,剥離可能であった.迷走神経の分枝から発生していた.手術時間:59分,出血:少量.【考察】神経原性腫瘍で迷走神経由来のものは稀である.多くは無症状で,偶発的に指摘されることが多い.症候性で迷走神経由来の神経鞘腫の手術例は稀であり,文献的考察を加えて報告する. |
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| ISSN: | 0919-0945 1881-4158 |
| DOI: | 10.2995/jacsurg.34.13 |