下肢脂肪織炎を伴った肉芽腫性乳腺炎の1例

症例は35歳,女性.2週間前より右乳房腫瘤と疼痛を自覚し,前医を受診した.膿瘍形成を認め切開排膿を受けた.同時期に左足関節部の発赤,腫脹および疼痛が出現している.症状の改善はみられず,また下肢痛で歩行が困難になり当科を受診し,入院となった.入院後,抗菌薬治療を行ったが症状は改善しなかった.乳腺の針生検では肉芽腫性乳腺炎を考える所見であり,下肢の病変はそれに伴った脂肪織炎と考えた.プレドニゾロン30mg/日を内服開始すると,乳腺・下肢の症状は著明に減退した.経過中乳腺炎の再燃を認めたが,徐々にプレドニゾロンを減量し,治療開始後約1年8カ月で中止となった.その後,再燃なく経過している. 肉芽腫性乳...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 76; no. 11; pp. 2640 - 2644
Main Authors 藤井, 清香, 園尾, 博司, 椎木, 滋雄, 森谷, 卓也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2015
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.76.2640

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Summary:症例は35歳,女性.2週間前より右乳房腫瘤と疼痛を自覚し,前医を受診した.膿瘍形成を認め切開排膿を受けた.同時期に左足関節部の発赤,腫脹および疼痛が出現している.症状の改善はみられず,また下肢痛で歩行が困難になり当科を受診し,入院となった.入院後,抗菌薬治療を行ったが症状は改善しなかった.乳腺の針生検では肉芽腫性乳腺炎を考える所見であり,下肢の病変はそれに伴った脂肪織炎と考えた.プレドニゾロン30mg/日を内服開始すると,乳腺・下肢の症状は著明に減退した.経過中乳腺炎の再燃を認めたが,徐々にプレドニゾロンを減量し,治療開始後約1年8カ月で中止となった.その後,再燃なく経過している. 肉芽腫性乳腺炎と脂肪織炎の同時発症はまれであり,文献的考察を加え報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.76.2640