Chronic expanding hematomaと鑑別を要した後腹膜腎外性angiomyolipomaの1例

64歳,女性.易疲労感,腹部膨隆の精査で,貧血と血小板,PT活性低下に加え,CTで右腎を下方に,右肝を上方に圧排する25cm大の境界明瞭な腫瘤性病変を認めた.腫瘍は分葉状で内部は斑状の低吸収を示し,大部分は造影不良で一部漸増性の造影効果を示し,MRIでは腫瘤内部にT2WIで著明な低信号~高信号域が斑状に混在し,時相の異なる出血が疑われた.PET-CTで悪性所見を認めず,後腹膜chronic expanding hematoma (CEH)と診断し,腫瘤切除術を施行した.周囲組織に明らかな浸潤は無く,腫瘤切除後の止血に難渋し,約4Lの出血を伴い輸血を要した.術後は速やかに血液凝固機能が正常化し,...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 80; no. 12; pp. 2277 - 2283
Main Authors 新本, 弘, 上野, 秀樹, 青笹, 季文, 山本, 順司, 緒方, 衝, 星川, 真有美, 辻本, 広紀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2019
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.80.2277

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Summary:64歳,女性.易疲労感,腹部膨隆の精査で,貧血と血小板,PT活性低下に加え,CTで右腎を下方に,右肝を上方に圧排する25cm大の境界明瞭な腫瘤性病変を認めた.腫瘍は分葉状で内部は斑状の低吸収を示し,大部分は造影不良で一部漸増性の造影効果を示し,MRIでは腫瘤内部にT2WIで著明な低信号~高信号域が斑状に混在し,時相の異なる出血が疑われた.PET-CTで悪性所見を認めず,後腹膜chronic expanding hematoma (CEH)と診断し,腫瘤切除術を施行した.周囲組織に明らかな浸潤は無く,腫瘤切除後の止血に難渋し,約4Lの出血を伴い輸血を要した.術後は速やかに血液凝固機能が正常化し,第13病日に退院となった.術後18カ月現在,再発は認めていない.術後病理診断では巨大血腫をきたした背景病変として腎外性angiomyolipoma (AML)を指摘された.文献的考察を加えて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.80.2277