腹膜播種を伴った骨形成直腸癌の1例
症例は67歳,女性.腹痛を主訴に近医から紹介され,S状結腸内視鏡を施行したところ,直腸癌を指摘された.精査の後,低位前方切除(D3)+ 一時的人工肛門造設を施行された.摘出標本は2型病変であり,腫瘍内に著明な骨形成が見られた.また,腫瘍周囲の腹膜に播種が見られたが,播種組織に骨形成は認めなかった.術後補助化学療法(Tegafur/Gimeracil/Oteracil potassium + Oxaliplatin)を行い,現在術後一年間無再発生存中である.骨形成性大腸癌は,頻度が約0.4%以下と低く,脈管侵襲の見られない,比較的低悪性度な癌と言われているが,遠隔転移を伴う症例や必ずしも予後が良...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 81; no. 10; pp. 2088 - 2092 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2020
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.81.2088 |
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Summary: | 症例は67歳,女性.腹痛を主訴に近医から紹介され,S状結腸内視鏡を施行したところ,直腸癌を指摘された.精査の後,低位前方切除(D3)+ 一時的人工肛門造設を施行された.摘出標本は2型病変であり,腫瘍内に著明な骨形成が見られた.また,腫瘍周囲の腹膜に播種が見られたが,播種組織に骨形成は認めなかった.術後補助化学療法(Tegafur/Gimeracil/Oteracil potassium + Oxaliplatin)を行い,現在術後一年間無再発生存中である.骨形成性大腸癌は,頻度が約0.4%以下と低く,脈管侵襲の見られない,比較的低悪性度な癌と言われているが,遠隔転移を伴う症例や必ずしも予後が良いとは言えない症例が報告されている.自験例では進行癌かつ腹膜播種を伴い,骨形成大腸癌が必ずしも低悪性でないことが示唆されたので報告する. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.81.2088 |