HSP40ファミリーメンバーである哺乳類の新規シャペロン補助因子DnaJB7の特性解析
分子シャペロンであるHSP70ファミリーのメンバーは通常HSP40/DNAJファミリーメンバーと一緒になって, タンパク質生合成やタンパク質恒常性維持に機能している. 哺乳類ではこれまでHSP40/DNAJファミリーでは約50個のメンバーが同定されている. 本研究でわれわれは, このファミリーのメンバーの一つであるDnaJB7のcDNAを単離し, DnaJB7タンパク質の機能および特性をin vitroおよびin vivoにおいて解析した. ヒトゲノムにおけるDnaJB7遺伝子には明らかな熱ショックエレメント (HSE) がなく, DnaJB7は熱ショックによって誘導されなかった. HeLa細...
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Published in | Thermal Medicine Vol. 27; no. 1; pp. 9 - 23 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本ハイパーサーミア学会
2010
Japanese Society for Thermal Medicine |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1882-2576 1882-3750 |
DOI | 10.3191/thermalmed.27.9 |
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Summary: | 分子シャペロンであるHSP70ファミリーのメンバーは通常HSP40/DNAJファミリーメンバーと一緒になって, タンパク質生合成やタンパク質恒常性維持に機能している. 哺乳類ではこれまでHSP40/DNAJファミリーでは約50個のメンバーが同定されている. 本研究でわれわれは, このファミリーのメンバーの一つであるDnaJB7のcDNAを単離し, DnaJB7タンパク質の機能および特性をin vitroおよびin vivoにおいて解析した. ヒトゲノムにおけるDnaJB7遺伝子には明らかな熱ショックエレメント (HSE) がなく, DnaJB7は熱ショックによって誘導されなかった. HeLa細胞において, DnaJB7は常温では細胞質と核に分布しているが, 熱ショックにより核小体に移行し, 核小体ではHsp70と共局在を示した. DnaJB7の局在パターンはHsp40 (DnaJB1) とよく似ていた. 免疫沈降法により, DnaJB7はHsp70と直接に会合していることが示された. またDnaJB7はHsp70ATPase活性を促進した. Hsp70は熱変性したタンパク質の凝集を抑制するという分子シャペロン活性を有するが, DnaJB7はこのシャペロン活性を促進した. また, マウス組織では, DnaJB7は胃で特に高い発現がみられ, 膵臓, 子宮, 卵巣ではわずかに発現していた. これらの結果からDnaJB7は胃で多く発現しているシャペロン補助因子であることが示唆された. |
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ISSN: | 1882-2576 1882-3750 |
DOI: | 10.3191/thermalmed.27.9 |