中葉形成不全を伴った右上葉肺癌に対し右肺上葉切除術を施行した1例

肺の先天的形成不全は多くが小児期に他の合併奇形を伴い発見される.成人で発見される例は稀で,形成不全を伴う肺の手術例はさらに稀である.今回我々は,中葉形成不全を伴う右肺の上葉に発生した肺癌に対して手術を施行した.症例は79歳,女性,非喫煙者.検診を契機に発見され,CTで4.7 cm大の充実性腫瘤を呈する右肺上葉肺癌疑い病変(T2bN0M0 臨床病期IIA)に対して手術の方針とした.CTにて中葉の肺動静脈および肺実質の構造は認められず,中葉気管支は入口部から約5 mmで盲端となっており中葉形成不全と診断した.手術は右肺上葉切除術を施行し,形成不全となった中葉部分には臓側胸膜のわずかな「たわみ」を認...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 36; no. 6; pp. 711 - 714
Main Authors 青木, 輝, 竹村, 千尋, 四倉, 正也, 渡辺, 俊一, 吉田, 幸弘, 中川, 加寿夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.09.2022
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.36.711

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Summary:肺の先天的形成不全は多くが小児期に他の合併奇形を伴い発見される.成人で発見される例は稀で,形成不全を伴う肺の手術例はさらに稀である.今回我々は,中葉形成不全を伴う右肺の上葉に発生した肺癌に対して手術を施行した.症例は79歳,女性,非喫煙者.検診を契機に発見され,CTで4.7 cm大の充実性腫瘤を呈する右肺上葉肺癌疑い病変(T2bN0M0 臨床病期IIA)に対して手術の方針とした.CTにて中葉の肺動静脈および肺実質の構造は認められず,中葉気管支は入口部から約5 mmで盲端となっており中葉形成不全と診断した.手術は右肺上葉切除術を施行し,形成不全となった中葉部分には臓側胸膜のわずかな「たわみ」を認めたのみで,肺実質は存在しなかった.右肺上葉の病変は病理学的には肺腺癌でT2bN0M0 病理病期IIAであった.肺の形成不全部分の構造を手術によって確認した例は未だ存在しないと考えられるため報告する.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.36.711