限局性悪性胸膜中皮腫の一切除例

症例は80歳代男性.左肺癌術後8年目のフォローアップ胸部CTにて右第7肋骨に接する22 mm大の胸膜結節を認め,診断・治療目的に腫瘍摘出術を施行した.病変は,右肺下葉と癒着しており肺部分合併切除を要したが,肋骨および肋間筋からは容易に剥離が可能であり,胸壁は温存して手術終了とした.病理所見は,形態学的,免疫組織学的に上皮型悪性胸膜中皮腫を支持する結果であったが,肉眼的,組織学的に胸膜に沿ったびまん性進展は認められず,限局性悪性胸膜中皮腫と診断した.病理学的には胸壁側剥離面近傍に腫瘍細胞が存在しており,マージン確保のための胸壁切除の必要性が議論となるが,経過観察にて術後2年無再発生存中である....

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 36; no. 4; pp. 418 - 424
Main Authors 菱田, 智之, 淺村, 尚生, 朝倉, 啓介, 前田, 智早, 江本, 桂, 矢野, 海斗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.05.2022
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.36.418

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Summary:症例は80歳代男性.左肺癌術後8年目のフォローアップ胸部CTにて右第7肋骨に接する22 mm大の胸膜結節を認め,診断・治療目的に腫瘍摘出術を施行した.病変は,右肺下葉と癒着しており肺部分合併切除を要したが,肋骨および肋間筋からは容易に剥離が可能であり,胸壁は温存して手術終了とした.病理所見は,形態学的,免疫組織学的に上皮型悪性胸膜中皮腫を支持する結果であったが,肉眼的,組織学的に胸膜に沿ったびまん性進展は認められず,限局性悪性胸膜中皮腫と診断した.病理学的には胸壁側剥離面近傍に腫瘍細胞が存在しており,マージン確保のための胸壁切除の必要性が議論となるが,経過観察にて術後2年無再発生存中である.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.36.418