若年者に発生した巨大胸腺脂肪腫の1例

症例は19歳男性.呼吸困難を主訴に前医を受診し,その際に施行された胸部CTで縦隔に腫瘤性病変を認めたため,精査加療目的に当院へ紹介となった.胸部CT検査で前縦隔から右側にかけて右房を圧排する大きさ97×42 mmで脂肪濃度の腫瘤性病変を認めた.胸部MRI検査でT1強調画像,T2強調画像でともに高信号を示し,脂肪抑制画像で低信号を示した.以上より,脂肪腫もしくは脂肪肉腫の術前画像診断で手術の方針とした.胸骨縦部分切離に右第4肋間前方開胸を繋げたHemi-clamshell approachで前縦隔から右胸腔に突出する腫瘍を摘出した.横隔神経や心膜への浸潤は認めなかった.切除標本は大きさ175×1...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 35; no. 6; pp. 749 - 753
Main Authors 荒木, 健太郎, 伊藤, 祥隆, 都島, 由紀雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.09.2021
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.35.749

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Summary:症例は19歳男性.呼吸困難を主訴に前医を受診し,その際に施行された胸部CTで縦隔に腫瘤性病変を認めたため,精査加療目的に当院へ紹介となった.胸部CT検査で前縦隔から右側にかけて右房を圧排する大きさ97×42 mmで脂肪濃度の腫瘤性病変を認めた.胸部MRI検査でT1強調画像,T2強調画像でともに高信号を示し,脂肪抑制画像で低信号を示した.以上より,脂肪腫もしくは脂肪肉腫の術前画像診断で手術の方針とした.胸骨縦部分切離に右第4肋間前方開胸を繋げたHemi-clamshell approachで前縦隔から右胸腔に突出する腫瘍を摘出した.横隔神経や心膜への浸潤は認めなかった.切除標本は大きさ175×100 mmで重量800 gであり,菲薄な血管に富んだ被膜に覆われた成熟脂肪細胞で構成され,小リンパ球より成る胸腺組織が散見された.悪性所見は認めず,胸腺脂肪腫と診断した.術後経過は良好で,術後第6病日に退院した.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.35.749