本態性血小板増多症合併肺癌に胸腔鏡下右下葉切除を施行した1例

本態性血小板増多症は血小板の量的,機能的,形態学的異常を示す慢性骨髄増殖性疾患に属する.症例は69歳男性.検診で右下葉肺癌疑いの病変を指摘され,手術の方針となった.下肢静脈血栓症,急性心筋梗塞の既往があり,ワルファリンとアスピリンを内服していた.初診時血液検査で血小板数が154.3×104/μLと異常高値であり,血液内科で本態性血小板増多症と診断された.ヒドロキシウレアの内服で血小板数は77.9×104/μLまで低下したが,血栓症のリスクが高いと考えられた.術前にワルファリンはヘパリンに置換し,アスピリンは継続し,胸腔鏡下右下葉切除術を施行した.術後は出血や血栓による合併症はなく,術後9日目に...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 36; no. 6; pp. 671 - 676
Main Authors 松浦, 求樹, 平野, 豊, 牧, 佑歩, 岡田, 和大, 藤原, 俊哉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.09.2022
Subjects
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.36.671

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Summary:本態性血小板増多症は血小板の量的,機能的,形態学的異常を示す慢性骨髄増殖性疾患に属する.症例は69歳男性.検診で右下葉肺癌疑いの病変を指摘され,手術の方針となった.下肢静脈血栓症,急性心筋梗塞の既往があり,ワルファリンとアスピリンを内服していた.初診時血液検査で血小板数が154.3×104/μLと異常高値であり,血液内科で本態性血小板増多症と診断された.ヒドロキシウレアの内服で血小板数は77.9×104/μLまで低下したが,血栓症のリスクが高いと考えられた.術前にワルファリンはヘパリンに置換し,アスピリンは継続し,胸腔鏡下右下葉切除術を施行した.術後は出血や血栓による合併症はなく,術後9日目に退院となった.本態性血小板増多症合併肺癌手術においては深部静脈血栓症や術後出血,肺静脈血栓に留意した管理が重要である.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.36.671