2期的コイル塞栓術を要したThe Arc of Bühler動脈瘤の1例

The Arc of Bühler(AOB)は胎生期における上腸間膜動脈(SMA)と腹腔動脈(CA)の遺残吻合血管と考えられ,その頻度は1–4%と稀な解剖学的変異である.正中弓状靭帯症候群(MALS)などによりCAに狭窄や閉塞を伴うと瘤化し,治療対象となり得る.症例は77歳女性,他院にて偶発的に内臓動脈瘤を指摘され当科紹介となった.造影CTでφ20 mm大の囊状AOB動脈瘤と診断し,血管内治療を行った.初回治療で,2本の流出動脈をコイル塞栓した後,術中血管造影で瘤内と流入動脈の描出が消失したため,手技を終了した.しかし術後1週間の造影CT検査にて瘤内の一部と流入動脈が再疎通している所見を認め2...

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Published in日本血管外科学会雑誌 Vol. 33; no. 6; pp. 337 - 341
Main Authors 斉藤, 貴明, 日高, のぞみ
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本血管外科学会 17.11.2024
日本血管外科学会
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ISSN0918-6778
1881-767X
DOI10.11401/jsvs.24-00062

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Summary:The Arc of Bühler(AOB)は胎生期における上腸間膜動脈(SMA)と腹腔動脈(CA)の遺残吻合血管と考えられ,その頻度は1–4%と稀な解剖学的変異である.正中弓状靭帯症候群(MALS)などによりCAに狭窄や閉塞を伴うと瘤化し,治療対象となり得る.症例は77歳女性,他院にて偶発的に内臓動脈瘤を指摘され当科紹介となった.造影CTでφ20 mm大の囊状AOB動脈瘤と診断し,血管内治療を行った.初回治療で,2本の流出動脈をコイル塞栓した後,術中血管造影で瘤内と流入動脈の描出が消失したため,手技を終了した.しかし術後1週間の造影CT検査にて瘤内の一部と流入動脈が再疎通している所見を認め2回目の治療を行った.瘤内の一部と流入動脈をコイル塞栓した.術後3カ月での造影CTでは,AOB動脈瘤は完全に塞栓されており,コイル塞栓は安全かつ有効な治療法であると考えられた.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.24-00062