Ehlers-Danlos症候群を背景に発症した気胸に対する2手術例

Ehlers-Danlos症候群(EDS)はコラーゲンやその修飾酵素の遺伝子異常により結合組織脆弱性を来す遺伝性疾患群である.我々はEDS合併の気胸手術を2例経験した.症例1は43歳女性,網膜剥離の既往と両肺多発空洞を有していた.左初発気胸に対し左肺下葉の空洞性病変を切除したが,staple lineおよび把持した肺実質から気漏を生じ修復を要した.既往,術前画像,術中所見からEDSを疑い,術後の遺伝子検査にて古典型EDSの診断に至った.症例2は38歳女性,下行結腸穿孔の既往があり血管型EDSと診断されていた.右気胸再発に対し右肺上葉の囊胞縫縮術を施行したが,把持した肺実質から気漏を認め,肺部分...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 36; no. 5; pp. 554 - 561
Main Authors 西田, 梨紗, 加勢田, 馨, 菱田, 智之, 政井, 恭兵, 淺村, 尚生, 江本, 桂
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.07.2022
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.36.554

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Summary:Ehlers-Danlos症候群(EDS)はコラーゲンやその修飾酵素の遺伝子異常により結合組織脆弱性を来す遺伝性疾患群である.我々はEDS合併の気胸手術を2例経験した.症例1は43歳女性,網膜剥離の既往と両肺多発空洞を有していた.左初発気胸に対し左肺下葉の空洞性病変を切除したが,staple lineおよび把持した肺実質から気漏を生じ修復を要した.既往,術前画像,術中所見からEDSを疑い,術後の遺伝子検査にて古典型EDSの診断に至った.症例2は38歳女性,下行結腸穿孔の既往があり血管型EDSと診断されていた.右気胸再発に対し右肺上葉の囊胞縫縮術を施行したが,把持した肺実質から気漏を認め,肺部分切除と壁側胸膜擦過を追加した.2例とも切除標本では組織中の弾性線維は維持されていたが肺実質は極めて脆弱であり,EDS合併が疑われる気胸手術では組織脆弱性に注意した愛護的な操作が肝要である.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.36.554