間欠性外斜視の訓練終了時期について―融像/偏位比の獲得に影響する因子の検討

【目的】間欠性外斜視に対する訓練療法において、効果獲得が少ない例では訓練を終了するかどうかの判断に迷うことがある。そこで、絶対融像幅/偏位量比(以下、融像/偏位比)の目標値を3.0として、その獲得に影響する因子に焦点を絞って分析し、訓練の終了時期について検討した。 【対象および方法】訓練を行った間欠性外斜視の16例(男10例、女6例、7〜15歳)を後ろ向きに調べた。そして、訓練前の輻湊不全(/あり)、理解・意欲(良/不良)、アドヒアランス(良/不良)、訓練開始時年齢(10歳以上/10歳未満)、性別(男/女)、偏位量(30 ⊿未満/30 ⊿以上)、訓練前の抑制(/あり)の7因子において症例を2群...

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Published in日本視能訓練士協会誌 Vol. 54; pp. 73 - 80
Main Authors 種本, 寛加, 木村, 眞理子, 木村, 久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本視能訓練士協会 2024
日本視能訓練士協会
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ISSN0387-5172
1883-9215
DOI10.4263/jorthoptic.54F110

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Summary:【目的】間欠性外斜視に対する訓練療法において、効果獲得が少ない例では訓練を終了するかどうかの判断に迷うことがある。そこで、絶対融像幅/偏位量比(以下、融像/偏位比)の目標値を3.0として、その獲得に影響する因子に焦点を絞って分析し、訓練の終了時期について検討した。 【対象および方法】訓練を行った間欠性外斜視の16例(男10例、女6例、7〜15歳)を後ろ向きに調べた。そして、訓練前の輻湊不全(/あり)、理解・意欲(良/不良)、アドヒアランス(良/不良)、訓練開始時年齢(10歳以上/10歳未満)、性別(男/女)、偏位量(30 ⊿未満/30 ⊿以上)、訓練前の抑制(/あり)の7因子において症例を2群に分け、融像/偏位比3.0に到達する過程を因子ごとにカプラン・マイヤー曲線で表した。そしてログランク検定で関連する因子を分析した。 【結果】目標到達期間の中央値は14週であった。訓練前の輻湊不全の有無、理解・意欲、アドヒアランス、訓練開始時年齢では2群間の到達率に有意差を認めた(p<0.05)。一方、性別、偏位量、訓練前の抑制の有無は2群間に有意差を認めなかった。 【結論】有意差を認めた因子のうちアドヒアランス、理解・意欲は、訓練を工夫しつつ対応することで変化させうる、治療者が手を加えることのできる因子であるといえる。このため、訓練期間が14週に及んだ場合でも訓練を終了せず継続することに意義はあると考えられた。
ISSN:0387-5172
1883-9215
DOI:10.4263/jorthoptic.54F110