破裂奇静脈瘤に対し外科的切除を施行した一例

症例は53歳男性.1ヵ月間持続する背部痛の増強を主訴に前医に受診し,造影CTで3.5 cm大の奇静脈瘤と大量の右胸水貯留を認め,奇静脈瘤破裂と診断された.手術目的に同日当院に転院搬送され,緊急で奇静脈瘤切除術を施行した.奇静脈瘤の壁は菲薄化しており,肺の展開にて噴出性に出血した.止血困難であったため,開胸手術にて奇静脈瘤を切除した.術後経過は良好であり,術後8日目に自宅退院となった.奇静脈瘤は非常に稀であり明確な手術適応基準は定まっていない.血栓を合併した報告はあるものの,破裂した症例報告はない.破裂のリスクとして静脈瘤が増大傾向であること,形態が囊状であること,結合織疾患の既往があることが指...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 37; no. 5; pp. 432 - 436
Main Authors 上田, 雄一郎, 佐藤, 寿彦, 白石, 武史, 三股, 頌平
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本呼吸器外科学会 15.07.2023
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.37.432

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Summary:症例は53歳男性.1ヵ月間持続する背部痛の増強を主訴に前医に受診し,造影CTで3.5 cm大の奇静脈瘤と大量の右胸水貯留を認め,奇静脈瘤破裂と診断された.手術目的に同日当院に転院搬送され,緊急で奇静脈瘤切除術を施行した.奇静脈瘤の壁は菲薄化しており,肺の展開にて噴出性に出血した.止血困難であったため,開胸手術にて奇静脈瘤を切除した.術後経過は良好であり,術後8日目に自宅退院となった.奇静脈瘤は非常に稀であり明確な手術適応基準は定まっていない.血栓を合併した報告はあるものの,破裂した症例報告はない.破裂のリスクとして静脈瘤が増大傾向であること,形態が囊状であること,結合織疾患の既往があることが指摘されており,本症例は囊状の形態が破裂リスクであった.いったん破裂すると止血に難渋する可能性があることから,たとえ血栓や出血がなくても発見時に積極的な手術を検討すべきと考える.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.37.432