鉛筆による頸部杙創にて左椎骨動脈損傷・第7頸椎椎体骨折をきたした小児の1例

〔要旨〕症例は10歳,女児。屋内で転倒し鉛筆が左頸部に刺さり搬送となった。CT検査で左椎骨動脈損傷,左第7頸椎椎体骨折と診断した。同日,バルーン補助下に左椎骨動脈近位部にコイル塞栓術を施行し,左頸部の鉛筆を除去するとともに圧迫止血術を施行した。破折した鉛筆の芯は第7頸椎椎体内に遺残したため,術後1カ月間の抗菌薬静注投与を行った。杙創での外傷性椎骨動脈損傷報告例は,本邦で4例であった。本症例では,椎骨動脈のカテーテル塞栓術を先行後に異物除去を施行し,良好な成績を得た。頸部杙創による椎骨動脈損傷では,成傷器の除去において,出血と塞栓による脳梗塞発症を防止する点を念頭に置いた治療戦略が必要である。...

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Published inJapanese Journal of Acute Care Surgery Vol. 13; pp. 114 - 118
Main Authors 岡, 和幸, 室野井, 智博, 山本, 祐太郎, 渡部, 広明, 川口, 留以, 藏本, 俊輔, 松本, 亮, 下条, 芳秀, 木谷, 昭彦, 比良, 英司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本Acute Care Surgery 学会 2023
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ISSN2436-102X
DOI10.50840/jjacs.13-18

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Summary:〔要旨〕症例は10歳,女児。屋内で転倒し鉛筆が左頸部に刺さり搬送となった。CT検査で左椎骨動脈損傷,左第7頸椎椎体骨折と診断した。同日,バルーン補助下に左椎骨動脈近位部にコイル塞栓術を施行し,左頸部の鉛筆を除去するとともに圧迫止血術を施行した。破折した鉛筆の芯は第7頸椎椎体内に遺残したため,術後1カ月間の抗菌薬静注投与を行った。杙創での外傷性椎骨動脈損傷報告例は,本邦で4例であった。本症例では,椎骨動脈のカテーテル塞栓術を先行後に異物除去を施行し,良好な成績を得た。頸部杙創による椎骨動脈損傷では,成傷器の除去において,出血と塞栓による脳梗塞発症を防止する点を念頭に置いた治療戦略が必要である。
ISSN:2436-102X
DOI:10.50840/jjacs.13-18