エントロピー駆動型の受容体-リガンド相互作用:免疫細胞表面受容体LILR(ILT/LIR/CD85)群の分子認識

「1. はじめに」すべての生命現象は, 突き詰めてみればおもにタンパク質とさまざまな生体分子との相互作用が基盤となっている. そしてそれらの相互作用は, 分子表面の形状, コンフォメーション変化, 数々の非共有結合(ファンデルワールス相互作用, 水素結合, 塩橋)の組み合わせにより, さまざまな特異性と親和性をもって生み出される. この特異性と親和性が, 免疫系においては自分(自己)と自分でないもの(非自己)を区別する上で重要な役割を果たしている. 筆者らは, 免疫系の細胞表面受容体であるLILR(leukocyte immunoglobulin(Ig)-like receptor)B1および...

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Published in生物物理 Vol. 47; no. 2; pp. 093 - 099
Main Authors 神田, 大輔, 前仲, 勝実, 黒木, 喜美子, 白石, 充典
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本生物物理学会 2007
日本生物物理学会
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ISSN0582-4052
1347-4219
DOI10.2142/biophys.47.093

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Summary:「1. はじめに」すべての生命現象は, 突き詰めてみればおもにタンパク質とさまざまな生体分子との相互作用が基盤となっている. そしてそれらの相互作用は, 分子表面の形状, コンフォメーション変化, 数々の非共有結合(ファンデルワールス相互作用, 水素結合, 塩橋)の組み合わせにより, さまざまな特異性と親和性をもって生み出される. この特異性と親和性が, 免疫系においては自分(自己)と自分でないもの(非自己)を区別する上で重要な役割を果たしている. 筆者らは, 免疫系の細胞表面受容体であるLILR(leukocyte immunoglobulin(Ig)-like receptor)B1およびLILRB2のリガンド認識機構に焦点を当て, 表面プラスモン共鳴, 熱力学的解析, X線結晶構造解析およびNMRによる解析を駆使して詳細に解析してきた. 本稿ではこれらの生物物理学的手法により得られた知見を, 他の免疫系受容体の相互作用を踏まえながら紹介したい.
ISSN:0582-4052
1347-4219
DOI:10.2142/biophys.47.093