Pazufloxacin (PZFX) の感染性腸炎臨床分離株に対する抗菌力

• Published in: 感染症学雑誌 Vol. 70; no. 1; pp. 51 - 59
• Main Authors: 大仲, 賢二, 福山, 正文, 原, 元宣, 今川, 八束
• Format: Journal Article
• Language: Japanese
• Published: 一般社団法人 日本感染症学会 01.01.1996
• ISSN: 0387-5911; 1884-569X
• DOI: 10.11150/kansenshogakuzasshi1970.70.51

ニューキノロン系合成抗菌剤pazufloxacin (PZFX) の臨床試験における感染性腸炎患者および保菌者から分離された新鮮分離株 (Shigella spp. 65株, Salmonella spp. 13株, Escherichia coli 7株, Vibrio parahaemolyticus 4株, Vibrio cholerae O1 4株, Aeromonas spp. 2株, Plesiomonas shigelloides 4株, Vibrio cholerae non-O1 3株) に対する最小発育阻止濃度 (MIC) を測定し, ofloxacin (OFLX), cipronoxacin (CPFX), tosufloxacin (TFLX) およびnalidixic acid (NA) のMICと比較した. PZFXのMIC90はShigella spp., Salmonella spp., E. coliに対して0.025μg/mlであった. Shigella spp.ではTFLXより1管劣り, CPFXと同等, OFLXより2管優れていた. Salmonella spp.ではTFLXと同等, CPFXより1管, OFLXより3管優れていた. E. coliではCPFX, TFLXより1管, OFLXより3管優れていた.菌株数の少なかったV. cholerae O1, Aeronomas spp.に対して0.006μg/ml, V. parahaemoyticusに対して0.2μg/ml, V. cholerae O1に対して0.025μg/mlおよびP. shigelloidesに対して0.0125μg/ml以下の濃度で全菌株の発育を阻止した.また, NAに対する耐性株はみられなか 保存株 (平成元年8月から平成3年2月までの臨床分離株) Shigella spp. 51株, Salmonella spp. 50株, E. coli 19株, V. cholerae O1 12株, V. parahaemolyticus 13株についてMICを新鮮分離株と同様に測定したところ, PZFXのそれぞれの菌種に対するMIC90は, 0.05, 0.05, 0.1, 0.0125, 0.2μg/mlであった. 以上のことから, PZFXはShigella spp.をはじめとする感染性腸炎起因菌に対して強い抗菌力を有しており, 臨床的にも効果が期待できることが示唆された.