外傷性十二指腸傍乳頭憩室穿孔の1例
〔要旨〕59歳女性。上腹部打撲後,心窩部に圧痛と腹膜刺激症状があり,画像上十二指腸背側に腸管外ガスと液貯留およびVater乳頭近傍に憩室を認めた。外傷性十二指腸損傷と診断し同日緊急手術を施行した。開腹時穿孔部の粘膜は囊状に突出しており,外傷性十二指腸傍乳頭憩室穿孔と診断した。憩室・穿孔部を切除し,大網被覆とした。ドレーンを留置し,十二指腸内の減圧目的で経胃十二指腸瘻,栄養目的で腸瘻を造設した。術後11日で発熱を認め,縫合不全と診断した。保存的治療の後改善し,術後56日で独歩退院した。外傷性十二指腸憩室穿孔はきわめてまれであり治療方針について明確な答えは出なかったが,本症例では経胃十二指腸瘻・腸...
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Published in | Japanese Journal of Acute Care Surgery Vol. 13; pp. 109 - 113 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本Acute Care Surgery 学会
2023
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Subjects | |
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ISSN | 2436-102X |
DOI | 10.50840/jjacs.13-17 |
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Summary: | 〔要旨〕59歳女性。上腹部打撲後,心窩部に圧痛と腹膜刺激症状があり,画像上十二指腸背側に腸管外ガスと液貯留およびVater乳頭近傍に憩室を認めた。外傷性十二指腸損傷と診断し同日緊急手術を施行した。開腹時穿孔部の粘膜は囊状に突出しており,外傷性十二指腸傍乳頭憩室穿孔と診断した。憩室・穿孔部を切除し,大網被覆とした。ドレーンを留置し,十二指腸内の減圧目的で経胃十二指腸瘻,栄養目的で腸瘻を造設した。術後11日で発熱を認め,縫合不全と診断した。保存的治療の後改善し,術後56日で独歩退院した。外傷性十二指腸憩室穿孔はきわめてまれであり治療方針について明確な答えは出なかったが,本症例では経胃十二指腸瘻・腸瘻が合併症発生後の管理に役立った。 |
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ISSN: | 2436-102X |
DOI: | 10.50840/jjacs.13-17 |