胸骨正中切開アプローチで気管下部に位置する気管癌に対して管状切除術を施行した1例

気管腫瘍の開胸方法には胸骨正中切開と右側方開胸がある.我々は気管下部に位置する気管癌に対して正中切開アプローチを行い,良好な視野を得た症例を経験した.症例:43歳女性.労作時呼吸苦と喘鳴(吸呼気の連続性ラ音)を主訴に受診.CT検査では大動脈弓レベルの気管左側壁から内腔に突出した16 mm大の結節,及びそれと連続して気管壁外に20 mm大の結節を認めた.気管支鏡検査では気管左側壁に基部を持つ隆起性病変を認め,気管内腔は80%狭窄していた.生検では粘膜下進展傾向を示すcribriform typeの腺様囊胞癌と診断したため,肉眼的に腫瘍を完全切除し,断端陽性であれば,術後放射線治療を追加する方針に...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 35; no. 6; pp. 687 - 692
Main Authors 闞, 秋明, 石田, 輝明, 青山, 克彦, 田川, 公平, 西村, 光世
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.09.2021
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.35.687

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Summary:気管腫瘍の開胸方法には胸骨正中切開と右側方開胸がある.我々は気管下部に位置する気管癌に対して正中切開アプローチを行い,良好な視野を得た症例を経験した.症例:43歳女性.労作時呼吸苦と喘鳴(吸呼気の連続性ラ音)を主訴に受診.CT検査では大動脈弓レベルの気管左側壁から内腔に突出した16 mm大の結節,及びそれと連続して気管壁外に20 mm大の結節を認めた.気管支鏡検査では気管左側壁に基部を持つ隆起性病変を認め,気管内腔は80%狭窄していた.生検では粘膜下進展傾向を示すcribriform typeの腺様囊胞癌と診断したため,肉眼的に腫瘍を完全切除し,断端陽性であれば,術後放射線治療を追加する方針にした.手術は胸骨正中切開アプローチで気管管状切除(5リング,3 cm長)・端々吻合術を施行し,術中迅速病理検査は施行しなかった.病理診断では切離断端陽性のため,術後2ヵ月目に吻合部に対し放射線治療45 Gyを施行した.術後2年無再発生存中である.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.35.687