赤芽球癆と重症筋無力症を合併した胸腺腫の1例

胸腺腫治療中に赤芽球癆と重症筋無力症を併発した症例を経験したため報告する.症例は67歳女性.正岡分類IVa期の胸腺腫に対し,ステロイドパルス療法を施行した後,2013年9月に両肺上葉の一部と左横隔神経,心囊の合併切除を伴う拡大胸腺摘出術を施行した.術後カルボプラチン+nab-パクリタキセル療法を4コース施行した後,残存した胸膜播種に対し追加切除を施行した.2015年9月に右胸膜播種再発に対し,カルボプラチン+nab-パクリタキセル療法を4コース再施行し,nab-パクリタキセル維持療法を追加した.その後,胸膜播種巣が再燃するたびに化学療法を追加施行した.2016年2月に高度の貧血を認め,骨髄生検...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 36; no. 6; pp. 647 - 654
Main Authors 闞, 秋明, 石田, 輝明, 青山, 克彦, 田川, 公平, 西村, 光世
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.09.2022
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.36.647

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Summary:胸腺腫治療中に赤芽球癆と重症筋無力症を併発した症例を経験したため報告する.症例は67歳女性.正岡分類IVa期の胸腺腫に対し,ステロイドパルス療法を施行した後,2013年9月に両肺上葉の一部と左横隔神経,心囊の合併切除を伴う拡大胸腺摘出術を施行した.術後カルボプラチン+nab-パクリタキセル療法を4コース施行した後,残存した胸膜播種に対し追加切除を施行した.2015年9月に右胸膜播種再発に対し,カルボプラチン+nab-パクリタキセル療法を4コース再施行し,nab-パクリタキセル維持療法を追加した.その後,胸膜播種巣が再燃するたびに化学療法を追加施行した.2016年2月に高度の貧血を認め,骨髄生検から赤芽球癆と診断した.プレドニゾロン投与によって貧血は改善したが,2017年4月に肺動脈血栓塞栓症,白内障,骨粗鬆症の副作用を認めたため,プレドニゾロンの投与を終了した.2019年7月,複視が出現し,重症筋無力症と診断され,ピリドスチグミン臭化物とタクロリムスの内服を開始し,症状は改善した.2021年2月,赤芽球癆が再燃したため,タクロリムスを中止し,シクロスポリンを導入した.3週間後,貧血は改善し,重症筋無力症の再燃も認めなかった.2022年1月現在(初回手術後8年4ヵ月)ADL(Activities of Daily Living)を保ったまま担癌生存している.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.36.647