超短パルスレーザ誘起内部変質によるダイヤモンドスライス加工

ダイヤモンドは優れた物性を有しているため広く利用されているが,難加工材料であり,効率的な加工手法は確立されていない.本研究はダイヤモンドの成形加工を目的として,超短パルスレ-ザをダイヤモンド内部で集光することで生成される黒色の変質と周囲の亀裂を利用したスライス加工手法を開発した.具体的にはダイヤモンド内部にピコ秒レ-ザを集光し照射することで,焦点近傍が黒色に変質する.この変質ではダイヤモンドが一部アモルファスカ-ボンに変化している.さまざまな加工条件で変質させ,安定して亀裂を生成できる条件を明らかにした.また,試料走査方向をレ-ザ光軸に対してレ-ザの広がり角程度傾けることで,すでに形成した変質...

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Published in砥粒加工学会誌 Vol. 67; no. 6; pp. 347 - 352
Main Authors 伊東, 翔, 佐藤, 正隆, 松坂, 壮太, 徳永, 大二郎, 比田井, 洋史, 尾松, 孝茂
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 砥粒加工学会 01.06.2023
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ISSN0914-2703
1880-7534
DOI10.11420/jsat.67.347

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Summary:ダイヤモンドは優れた物性を有しているため広く利用されているが,難加工材料であり,効率的な加工手法は確立されていない.本研究はダイヤモンドの成形加工を目的として,超短パルスレ-ザをダイヤモンド内部で集光することで生成される黒色の変質と周囲の亀裂を利用したスライス加工手法を開発した.具体的にはダイヤモンド内部にピコ秒レ-ザを集光し照射することで,焦点近傍が黒色に変質する.この変質ではダイヤモンドが一部アモルファスカ-ボンに変化している.さまざまな加工条件で変質させ,安定して亀裂を生成できる条件を明らかにした.また,試料走査方向をレ-ザ光軸に対してレ-ザの広がり角程度傾けることで,すでに形成した変質による吸収を防ぐことができ安定して変質をおこせること,さらに適切な間隔で変質させることで,変質の間に亀裂が進展,面状に広がることを明らかにした.これらの結果をもとに剥離を試みた結果, 300×400 μm2の大きさで剥離に成功し,その面の最大粗さSzは30 μm程度であった.
ISSN:0914-2703
1880-7534
DOI:10.11420/jsat.67.347