好中球単独での血球減少を伴った胸腺腫の1切除例

症例は60歳代の女性.前縦隔腫瘍精査目的で紹介となった.画像上非浸潤性の胸腺腫を疑ったが,好中球数の減少を認め,CTガイド下生検を施行した.病理診断は胸腺腫typeB1であった.赤血球数,血小板数は正常値であり,骨髄穿刺でも顆粒球の減少は認めなかったが,好中球数は300/μl前後で推移していた.G-CSFによる好中球の増加が確認されたので,術直前に投与したのちに拡大胸腺摘出術を施行した.最終病理診断はtype B1の胸腺腫で正岡分類II期であった.術後は感染症の合併はなく経過し,第10病日に退院となった.好中球数は術後1ヵ月で術前と同レベルの300/μlまで低下した.同時期の血液検査で抗好中球...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 36; no. 2; pp. 187 - 193
Main Authors 鈴木, 浩介, 大橋, 慎一, 北見, 明彦, 植松, 秀護, 神尾, 義人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.03.2022
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.36.187

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Summary:症例は60歳代の女性.前縦隔腫瘍精査目的で紹介となった.画像上非浸潤性の胸腺腫を疑ったが,好中球数の減少を認め,CTガイド下生検を施行した.病理診断は胸腺腫typeB1であった.赤血球数,血小板数は正常値であり,骨髄穿刺でも顆粒球の減少は認めなかったが,好中球数は300/μl前後で推移していた.G-CSFによる好中球の増加が確認されたので,術直前に投与したのちに拡大胸腺摘出術を施行した.最終病理診断はtype B1の胸腺腫で正岡分類II期であった.術後は感染症の合併はなく経過し,第10病日に退院となった.好中球数は術後1ヵ月で術前と同レベルの300/μlまで低下した.同時期の血液検査で抗好中球抗体の陽性を確認した.術後2年後に朝のこわばり等関節症状を認め,再度内科的精査を行ったが膠原病の確定診断には至らなかった.好中球単独での血球減少を伴う胸腺腫は極めて稀であるので報告する.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.36.187