妊娠糖尿病の合併により羊水過多の鑑別として Apert症候群の想起が困難であった1例

羊水過多は胎児および母体のさまざまな合併症と関連し,原因は多岐にわたる。Apert症候群は頭蓋縫合早期癒合症,合指/趾症,頭蓋顔面異骨症を呈するが,出生前診断が困難である。今回,胎児期に羊水過多を認め,出生後にApert症候群が判明した児を報告する。症例は日齢0の女児である。母体は妊娠35週で羊水過多を認め,これは妊娠31週で出現した妊娠糖尿病の影響だと判断され,児のApert症候群は出生前には気づかれなかった。Apert症候群の胎児が惹起する羊水過多は,多くは妊娠32週以降に生じ,中枢神経異常や上気道狭窄に伴う嚥下障害が関与することが知られている。本症例では上顎骨低形成による嚥下障害が関与し...

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Published in日本病院総合診療医学会雑誌 Vol. 21; no. 3; pp. 101 - 105
Main Authors 城所, 励太, 中野, 有也, 高見堂, 正太郎, 小松, 玲奈, 伊東, ななみ, 阿部, 祥英, 長谷川, 真, 村川, 哲郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本病院総合診療医学会 2025
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ISSN2185-8136
2758-7878
DOI10.60227/jhgmwabun.21.3_101

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Summary:羊水過多は胎児および母体のさまざまな合併症と関連し,原因は多岐にわたる。Apert症候群は頭蓋縫合早期癒合症,合指/趾症,頭蓋顔面異骨症を呈するが,出生前診断が困難である。今回,胎児期に羊水過多を認め,出生後にApert症候群が判明した児を報告する。症例は日齢0の女児である。母体は妊娠35週で羊水過多を認め,これは妊娠31週で出現した妊娠糖尿病の影響だと判断され,児のApert症候群は出生前には気づかれなかった。Apert症候群の胎児が惹起する羊水過多は,多くは妊娠32週以降に生じ,中枢神経異常や上気道狭窄に伴う嚥下障害が関与することが知られている。本症例では上顎骨低形成による嚥下障害が関与したと考えられた。妊娠32週以降に生じる羊水過多は母体と胎児の双方の要因に留意する必要がある。
ISSN:2185-8136
2758-7878
DOI:10.60227/jhgmwabun.21.3_101