12年間の経過で増大し切除した肝原発神経内分泌腫瘍の1例

症例は76歳,女性.64歳時に他疾患の精査で肝S4に12mm大の単発腫瘤を指摘された.血管腫を疑い,以後不定期の経過観察で緩徐な増大傾向を認めていた.今回,4年の間隔があり,顕著な増大を認めたため,紹介となった.CTで腫瘍内部は大部分が充実性で,壊死または嚢胞を疑う低吸収域もみられ,MRIではT1強調像で低信号,T2強調像で低信号~強い高信号の領域が混在し,いずれの検査も早期より不均一に濃染された.他病変は認めず,原発性肝腫瘍と診断したが,肝細胞癌や血管肉腫などはいずれも非典型的であり,診断的治療目的に中央2区域切除術を施行した.病理組織学的診断は,肝原発神経内分泌腫瘍G2であった.肝原発神経...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 77; no. 7; pp. 1764 - 1771
Main Authors 山東, 雅紀, 新宮, 優二, 坂本, 英至, 渡邉, 博行, 法水, 信治, 田口, 泰郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2016
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.77.1764

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Summary:症例は76歳,女性.64歳時に他疾患の精査で肝S4に12mm大の単発腫瘤を指摘された.血管腫を疑い,以後不定期の経過観察で緩徐な増大傾向を認めていた.今回,4年の間隔があり,顕著な増大を認めたため,紹介となった.CTで腫瘍内部は大部分が充実性で,壊死または嚢胞を疑う低吸収域もみられ,MRIではT1強調像で低信号,T2強調像で低信号~強い高信号の領域が混在し,いずれの検査も早期より不均一に濃染された.他病変は認めず,原発性肝腫瘍と診断したが,肝細胞癌や血管肉腫などはいずれも非典型的であり,診断的治療目的に中央2区域切除術を施行した.病理組織学的診断は,肝原発神経内分泌腫瘍G2であった.肝原発神経内分泌腫瘍は非常に稀で,12年間に及ぶ緩徐な増大の経過を観察した.肝原発神経内分泌腫瘍G1およびG2について文献的考察を加え報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.77.1764