経口避妊薬内服中の若年女性に発生し増大傾向を示した肝focal nodular hyperplasiaの一例

症例は25歳女性.2015年1月,健康診断での腹部超音波検査にて肝S7に23 mmの腫瘤を認めた.近医で経過観察されていたが,2017年3月のCT検査で52 mmへ増大したため前医へ紹介.前医で施行した経皮的肝生検では,focal nodular hyperplasia(FNH)を第一に疑うが肝細胞腺腫も否定できなかった.その後も増大を認め,手術目的に当院へ紹介.血液検査では肝胆道系酵素の上昇はなく,腫瘍マーカー,肝炎ウイルスマーカーは陰性.画像検査上はFNHを第一に疑うが特徴的所見に乏しく,経口避妊薬の内服歴や増大傾向から肝細胞腺腫も否定できなかった.肝生検や画像検査で確定診断に至らず,肝細...

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Published in肝臓 Vol. 60; no. 4; pp. 127 - 134
Main Authors 宮城, 重人, 中西, 渉, 西村, 隆一, 藤島, 史喜, 海野, 倫明, 宮崎, 勇希, 原, 康之, 戸子台, 和哲, 中西, 史, 亀井, 尚
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 01.04.2019
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.60.127

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Summary:症例は25歳女性.2015年1月,健康診断での腹部超音波検査にて肝S7に23 mmの腫瘤を認めた.近医で経過観察されていたが,2017年3月のCT検査で52 mmへ増大したため前医へ紹介.前医で施行した経皮的肝生検では,focal nodular hyperplasia(FNH)を第一に疑うが肝細胞腺腫も否定できなかった.その後も増大を認め,手術目的に当院へ紹介.血液検査では肝胆道系酵素の上昇はなく,腫瘍マーカー,肝炎ウイルスマーカーは陰性.画像検査上はFNHを第一に疑うが特徴的所見に乏しく,経口避妊薬の内服歴や増大傾向から肝細胞腺腫も否定できなかった.肝生検や画像検査で確定診断に至らず,肝細胞腺腫では悪性転化や出血の懸念があるため拡大後区域切除を行った.病理診断はFNHであった.増大するFNHの報告例は散見されるが,経口避妊薬内服中の若年女性における増大例は稀であり文献的考察と共に報告する.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.60.127