Streptococcus pyogenesによる深頸部膿瘍をきたした成人男性の1例

症例は20歳,男性。発熱と左頸部腫脹とを主訴に受診し,急性咽頭炎から波及した深頸部膿瘍の診断で入院した。保存的加療に反応せず,外科的排膿術を要した。咽頭の溶連菌迅速検査は陰性であったが,膿瘍よりS. pyogenesを検出したため,同菌が起因菌であると診断した。 成人における深頸部膿瘍の起因菌は嫌気性菌の割合が高いとされ,文献的にS. pyogenesが起因菌である頻度は1割以下とされる。S. pyogenesによる感染症は急速に症状が進行したり,深頸部膿瘍においては膿瘍腔の多房化や膿瘍の縦隔進展など重症化しやすいとされるため,同菌による深頸部膿瘍が疑われた場合はより早期からの外科的治療介入が...

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Published in頭頸部外科 Vol. 28; no. 1; pp. 69 - 73
Main Authors 池宮城, 秀崇, 矢吹, 健一郎, 折舘, 伸彦, 森, 牧子, 塩野, 理
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会 2018
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ISSN1349-581X
1884-474X
DOI10.5106/jjshns.28.69

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Summary:症例は20歳,男性。発熱と左頸部腫脹とを主訴に受診し,急性咽頭炎から波及した深頸部膿瘍の診断で入院した。保存的加療に反応せず,外科的排膿術を要した。咽頭の溶連菌迅速検査は陰性であったが,膿瘍よりS. pyogenesを検出したため,同菌が起因菌であると診断した。 成人における深頸部膿瘍の起因菌は嫌気性菌の割合が高いとされ,文献的にS. pyogenesが起因菌である頻度は1割以下とされる。S. pyogenesによる感染症は急速に症状が進行したり,深頸部膿瘍においては膿瘍腔の多房化や膿瘍の縦隔進展など重症化しやすいとされるため,同菌による深頸部膿瘍が疑われた場合はより早期からの外科的治療介入が必要であると考えられた。
ISSN:1349-581X
1884-474X
DOI:10.5106/jjshns.28.69