内ヘルニアの6例

内ヘルニアは,腹腔内に存在する陥凹や嚢,または間膜などの裂孔に腹腔内臓器が嵌入する状態で,稀な疾患であるが,絞扼性イレウスで発症することも多く,迅速な判断が求められる.当院で2005年から2011年に6例の内ヘルニア手術症例を経験したので報告する.6例の内訳は盲腸周囲ヘルニアが2例,大網裂孔ヘルニア,S状結腸間膜窩ヘルニア,子宮広間膜裂孔ヘルニア,傍十二指腸ヘルニアがそれぞれ1例であった.主訴は腹痛や嘔吐,腹部膨満で,全例に腹部CTが施行された.術前に内ヘルニアの診断ができたものは3例であった.5例が緊急手術で行われたが,発症後早期に診断できた1例は,緊急でも腹腔鏡手術が施行しえた.内ヘルニア...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 73; no. 8; pp. 2121 - 2126
Main Authors 西江, 学, 常光, 洋輔, 木村, 裕司, 稲垣, 優, 岩垣, 博巳, 岩川, 和秀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2012
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.73.2121

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Summary:内ヘルニアは,腹腔内に存在する陥凹や嚢,または間膜などの裂孔に腹腔内臓器が嵌入する状態で,稀な疾患であるが,絞扼性イレウスで発症することも多く,迅速な判断が求められる.当院で2005年から2011年に6例の内ヘルニア手術症例を経験したので報告する.6例の内訳は盲腸周囲ヘルニアが2例,大網裂孔ヘルニア,S状結腸間膜窩ヘルニア,子宮広間膜裂孔ヘルニア,傍十二指腸ヘルニアがそれぞれ1例であった.主訴は腹痛や嘔吐,腹部膨満で,全例に腹部CTが施行された.術前に内ヘルニアの診断ができたものは3例であった.5例が緊急手術で行われたが,発症後早期に診断できた1例は,緊急でも腹腔鏡手術が施行しえた.内ヘルニアは,術前診断が困難とされているが,手術時期を逸しないためにも腹部CTの詳細な読影が求められ,また,早期に診断することで,腹腔鏡手術や腸管温存といった低侵襲な治療が可能であると思われた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.73.2121