腹腔鏡下腹膜生検により結核性腹膜炎の診断に至った2例

肺外結核の一種である結核性腹膜炎は進行すると致死的で早期診断・治療が重要である。今回,腹腔鏡下腹膜生検により診断に至った結核性腹膜炎の2例を経験したので報告する。症例1は70歳女性。主訴は腹痛,嘔吐。CTで小腸の壁肥厚を認め,イレウスと診断された。保存的に軽快せず,手術を行った。症例2は80歳女性。主訴は腹部膨満感。CTで腹水,腸間膜脂肪織濃度上昇を認めた。腹水検査では悪性所見を認めなかったが,腹水ADAの上昇を認め,結核が疑われた。確定診断目的に手術を行った。両症例ともに腹腔鏡観察を行うと,腹腔内は粟粒大の白色結節で無数に覆われており,腹膜生検の結果,類上皮肉芽腫を認め,結核性腹膜炎と診断さ...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 38; no. 6; pp. 1111 - 1116
Main Authors 川野, 雄一郎, 藤永, 淳郎, 野口, 琢矢, 柴田, 浩平
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 30.09.2018
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.38.1111

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Summary:肺外結核の一種である結核性腹膜炎は進行すると致死的で早期診断・治療が重要である。今回,腹腔鏡下腹膜生検により診断に至った結核性腹膜炎の2例を経験したので報告する。症例1は70歳女性。主訴は腹痛,嘔吐。CTで小腸の壁肥厚を認め,イレウスと診断された。保存的に軽快せず,手術を行った。症例2は80歳女性。主訴は腹部膨満感。CTで腹水,腸間膜脂肪織濃度上昇を認めた。腹水検査では悪性所見を認めなかったが,腹水ADAの上昇を認め,結核が疑われた。確定診断目的に手術を行った。両症例ともに腹腔鏡観察を行うと,腹腔内は粟粒大の白色結節で無数に覆われており,腹膜生検の結果,類上皮肉芽腫を認め,結核性腹膜炎と診断された。結核性腹膜炎は腹部症状が非特異的であり,術前診断が困難なことが多い。腹腔鏡下腹膜生検は低侵襲で施行可能で,早期診断・治療に有用であり,結核性腹膜炎の良好な治療成績につながると思われた。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.38.1111