肝膿瘍の治療後に同部位から発生した肝細胞癌の1例

肝膿瘍の治療後に膿瘍部から肝細胞癌が発生した極めて稀な症例を経験したので報告する.症例は76歳の女性で,ガス産生肝膿瘍破裂と診断され,緊急開腹ドレナージ術と抗菌治療にて軽快退院した.退院後,肝膿瘍は徐々に縮小したが,肝S8に膿瘍が残存した.肝膿瘍の治療後4年6カ月が経過して,同部から肝細胞癌の発生を認めた.肝右葉切除術を施行し,病理組織学的に高分化型肝細胞癌と診断された.肝細胞癌が肝膿瘍から発生することは極めて稀であり,膿瘍内に微小な腫瘍が潜在している場合,肝細胞癌を診断することは容易でない.肝膿瘍の治療において,肝細胞癌の合併の可能性も念頭に置きながら,肝膿瘍の経時的変化を経過観察することが...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 80; no. 7; pp. 1360 - 1364
Main Authors 外川, 明, 若林, 康夫, 奥野, 厚志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2019
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.80.1360

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Summary:肝膿瘍の治療後に膿瘍部から肝細胞癌が発生した極めて稀な症例を経験したので報告する.症例は76歳の女性で,ガス産生肝膿瘍破裂と診断され,緊急開腹ドレナージ術と抗菌治療にて軽快退院した.退院後,肝膿瘍は徐々に縮小したが,肝S8に膿瘍が残存した.肝膿瘍の治療後4年6カ月が経過して,同部から肝細胞癌の発生を認めた.肝右葉切除術を施行し,病理組織学的に高分化型肝細胞癌と診断された.肝細胞癌が肝膿瘍から発生することは極めて稀であり,膿瘍内に微小な腫瘍が潜在している場合,肝細胞癌を診断することは容易でない.肝膿瘍の治療において,肝細胞癌の合併の可能性も念頭に置きながら,肝膿瘍の経時的変化を経過観察することが重要である.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.80.1360