肝原発神経内分泌癌の1例

神経内分泌腫瘍は肺,消化管,膵などで報告されているが肝原発は稀である.今回,肝原発神経内分泌癌を経験したので報告する.65歳男性で,平成18年に他院で食道癌切除術を受けた.病理は扁平上皮癌,pT1b(sm)N0M0 Stage Iであった.患者の希望で当院に通院していた.平成19年10月,繰り返す腸閉塞のため解除術を施行した.術前の画像診断では再発や重複癌はなかった.翌年2月,肝両葉に多数の腫瘍が出現.経皮的肝腫瘍生検では未分化癌と診断された.食道癌に準じた化学療法を行ったが,肝不全で死亡した.剖検では肝臓のほぼ全体が白色の充実性腫瘍で置換されており,chromogranin A,CD56が陽...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 74; no. 5; pp. 1341 - 1347
Main Authors 富澤, 直樹, 荻野, 美里, 須納瀬, 豊, 安東, 立正, 荒川, 和久, 竹吉, 泉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2013
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.74.1341

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Summary:神経内分泌腫瘍は肺,消化管,膵などで報告されているが肝原発は稀である.今回,肝原発神経内分泌癌を経験したので報告する.65歳男性で,平成18年に他院で食道癌切除術を受けた.病理は扁平上皮癌,pT1b(sm)N0M0 Stage Iであった.患者の希望で当院に通院していた.平成19年10月,繰り返す腸閉塞のため解除術を施行した.術前の画像診断では再発や重複癌はなかった.翌年2月,肝両葉に多数の腫瘍が出現.経皮的肝腫瘍生検では未分化癌と診断された.食道癌に準じた化学療法を行ったが,肝不全で死亡した.剖検では肝臓のほぼ全体が白色の充実性腫瘍で置換されており,chromogranin A,CD56が陽性で,MIB-1が45.8%と高値なため,肝原発神経内分泌癌と診断した.本症例では食道癌の既往があり針生検でも確定診断がつかなかったため,食道癌化学療法に準じた治療を行ったが,奏効しなかった.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.74.1341