肛門部Bowen病の1例

症例は75歳,女性.数年前より肛門周囲にびらんが出現し,徐々に増大傾向があるため近医を受診.皮膚生検の結果,Bowen病と診断され,治療目的に当院へ紹介となった.病変は肛門右側6時~12時方向に認め,病変肛門側は肛門縁に及んでいた.広範囲局所切除術を施行し,病変部から肛門粘膜側は6mm,皮膚側は10mmのmarginをとって切除した.術中に迅速病理診断で粘膜側および皮膚側の断端陰性を確認し,皮膚粘膜欠損部は皮弁形成術にて被覆を行った.肛門部Bowen病は,肛門部悪性腫瘍のうち2.4%と報告されており,非常に稀な疾患である.肛門部Bowen病の治療は局所切除が原則で腫瘍辺縁より6~10mmのma...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 76; no. 5; pp. 1114 - 1117
Main Authors 虎島, 泰洋, 安倍, 邦子, 黒木, 保, 松本, 亮, 江口, 晋, 藤田, 文彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2015
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.76.1114

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Summary:症例は75歳,女性.数年前より肛門周囲にびらんが出現し,徐々に増大傾向があるため近医を受診.皮膚生検の結果,Bowen病と診断され,治療目的に当院へ紹介となった.病変は肛門右側6時~12時方向に認め,病変肛門側は肛門縁に及んでいた.広範囲局所切除術を施行し,病変部から肛門粘膜側は6mm,皮膚側は10mmのmarginをとって切除した.術中に迅速病理診断で粘膜側および皮膚側の断端陰性を確認し,皮膚粘膜欠損部は皮弁形成術にて被覆を行った.肛門部Bowen病は,肛門部悪性腫瘍のうち2.4%と報告されており,非常に稀な疾患である.肛門部Bowen病の治療は局所切除が原則で腫瘍辺縁より6~10mmのmarginをとる広範囲局所切除を行うが,局所再発率は16~25%と高く,確実な切離marginをとることが肝要である.本症例では,術中迅速病理診断を行うことで安全な切除線を確保することができた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.76.1114