自然閉鎖した肝内動脈門脈瘻の一例

症例は67歳男性.吐血を主訴に救急搬送された.緊急上部消化管内視鏡検査(EGD)にて食道静脈瘤(Ls F3 Cb RC2)ならびに胃静脈瘤(Lg-cf F3 RC1)を認め,出血源と考えられた胃噴門部の静脈瘤に対して内視鏡的静脈瘤結紮術(EVL)を施行した.腹部造影CTで脾腫,腹水のほか,左肝動脈から門脈左枝に流入する肝内動脈門脈瘻を認め,肝生検では肝硬変の所見を認めなかった.血管造影検査にて左肝動脈から門脈左枝に連絡する肝内動脈門脈瘻を確認した.その後の経過観察中に腹水は改善し,EVL施行から9カ月後のEGDでは食道静脈瘤はF1形態で白色化し,胃静脈瘤はF0形態となりいずれも著明な改善を認め...

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Published in肝臓 Vol. 58; no. 7; pp. 393 - 400
Main Authors 古田, 訓丸, 鈴木, 都男, 藥師神, 崇行, 巽, 智秀, 山田, 涼子, 真田, 徹, 竹原, 徹郎, 福富, 啓祐, 小玉, 尚宏, 疋田, 隼人, 阪森, 亮太郞, 重川, 稔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 2017
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.58.393

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Summary:症例は67歳男性.吐血を主訴に救急搬送された.緊急上部消化管内視鏡検査(EGD)にて食道静脈瘤(Ls F3 Cb RC2)ならびに胃静脈瘤(Lg-cf F3 RC1)を認め,出血源と考えられた胃噴門部の静脈瘤に対して内視鏡的静脈瘤結紮術(EVL)を施行した.腹部造影CTで脾腫,腹水のほか,左肝動脈から門脈左枝に流入する肝内動脈門脈瘻を認め,肝生検では肝硬変の所見を認めなかった.血管造影検査にて左肝動脈から門脈左枝に連絡する肝内動脈門脈瘻を確認した.その後の経過観察中に腹水は改善し,EVL施行から9カ月後のEGDでは食道静脈瘤はF1形態で白色化し,胃静脈瘤はF0形態となりいずれも著明な改善を認めた.血管造影検査では,肝内動脈門脈瘻は閉鎖しており,これにより門脈圧が正常化することで食道胃静脈瘤が改善したと考えられた.門脈圧亢進症を呈する肝内動脈門脈瘻の自然閉鎖は極めて稀であると考え,報告する.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.58.393